玉川大学 玉川学園 2017
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Tamagawa University & Tamagawa Academy 201705研究所世界をリードする、注目の研究学術研究所、脳科学研究所、量子情報科学研究所の3つの研究所を擁する玉川大学。それぞれの分野で先進的な研究を行っており、例えば量子情報科学研究所は世界の量子情報科学分野を牽引するような研究開発で注目を集めています。30年前から、世界の研究をリード自動運転のセンサーなど、多分野に応用可能いよいよ、量子レーダーカメラの実現に挑戦玉川大学の量子情報科学研究グループは1980年代から量子情報の学問的基盤となる数学理論の研究において世界的な成果を上げてきました。その成果をより社会に貢献できるように、2000年から小原芳明学長の主導によって社会が課題とする問題を解決する応用研究が付け加えられました。最初の課題であった、今日のクラウド型情報ネットワークに壊滅的な打撃を与えるサイバー攻撃に対する防御を目的とした「Y-00光通信量子暗号」とその発展形である「量子エニグマ暗号」は、いよいよ実運用の領域に到達しようとしています。2014年より新たに、本研究所の量子ミニマックス定理と呼ばれる数学理論に基づく量子レーダーの開発が始まりました。一般的なレーダーは電波やレーザー光を照射して、その反射波を測定することで対象となる物体の存在や距離などを検知します。ただ対象の形状は再現できず、それは高感度カメラの役割となります。もしレーダーが映像も再現できれば、いかなる天候下でも対象物を認識でき、例えばクルマの自動運転用センサーなど、幅広い分野での応用が期待できます。量子レーダーは光によるレーダーの形態をもっており、量子力学特有の現象を利用して従来のレーダーではできない機能を実現できます。その現象を利用した量子レーダーの 一つが、レーダーカメラなのです。これまで、レーダーカメラの実現には米マサチューセッツ工科大学(MIT)などが挑戦してきましたが、光子レベルのミクロな量子を応用するため、検知範囲などに制限がありました。本学が提唱する方法はマクロ量子を用いた絡み合い現象(エンタングルメント)と熱光を融合するため、検知範囲や実現技術が現実的な特性をもっています。2014年に、政田元太教授が量子レーダーカメラの光源であり、システムの心臓部となるマクロ量子のエンタングルメントを発生する「2モードスクイズド光の生成」の基礎実験に成功しました。この成果は米国での量子イメージング国際会議などで発表されています。2016年度から、この光源の小型化に向けた研究が開始されます。また同時に日立製作所との共同研究が開始され、本学の数理理論研究者の協力のもと、レーダーカメラとしての機能を実現するシステム学的な開発が推進されます。これらが進展すれば自動運転用センサーの画期的な性能改善が期待できます。理論研究から実践の段階にいよいよ世界の注目が集まる、量子情報科学光アンテナ微弱反射光PDTamagawa Future Vision玉川が描く、教育の未来図

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