学校法人 玉川学園 Puente 2011.06 vol.01
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2011年春、高校を卒業した比嘉千亜紀さん。4月から通う大学では国際教養学を学ぶ。大学で学ぶ前に、これまで訪れたことのなかった中東やイスラム圏を訪れてみたいと考えていた。 しかし、予定していた研修プログラムには中東圏との提携校がない。プログラムの担当者は、交流のある学校からつなぎをつけ、なんとかヨルダン・キングスアカデミーでの研修を実現させた。 「日本で見ていた中東は、ほんの一部だったんだ」。比嘉さんは、ヨルダンを訪れてそう実感したという。中東といえば、常に危険と隣り合わせ。そんなイメージが強いが、人々の多くは落ち着いて暮らしており、学ぶ環境も整っている。長い歴史を持つ国なので、アラブ文化だけではなく古代ギリシャやローマの文化もあちこちに色濃く残る。初めて触れる中東での日々を、比嘉さんは貪欲に過ごしていった。講義も自分が興味あるカリキュラムに変更してもらい、イスラム教に関する講義も受けた。各国の生徒やヨルダンで生活する日本人、いろいろな人と語り合った。 玉川は、こうして世界に羽ばたこうとする子供たちを徹底して応援する。例えば、8ページに登場した大倉由莉さんが参加したラウンドスクエア国際会議への取り組みもその一環だ。これは世界規模の私立学校連盟ラウンドスクエアが主催する国際会議。世界各国の高校生が400人以上集まり、環境や貧困といった現代社会の問題をテーマにディスカッションやボランティアを行う。玉川は日本で唯一のメンバー校だ。 いち早く、国際標準のバイリンガル教育を行うIB(International Baccalaureate)クラスを開設したのも、これからの社会には国際社会で通用する能力が欠かせないという思いから。IBクラスでは週31時間の授業のうち、20時間以上を英語で行っている。語学教育だけではなく歴史や文化、言語に対しても視野を広げ、思考力、表現力を伸ばしていく。 IBクラスで学ぶ石川裕伊登さんは海外での生活経験はない。それでも英語を話す必要性と同時に、日本の文化についても造詣を深めたいと思いIBクラスへの進学を決めた。1年目はスピードの速さに戸惑いもあったが、慣れていくにつれて学ぶのが楽しくなってきたという。9年生のときには、カナダで開催されたラウンドスクエアジュニア国際会議に参加した。 子供たちに共通しているのは、「もっと知りたい」「学びたい」。そして「自分の考えを伝えたい」という強い意志だ。彼らのなかに沸き立つ「もっと、もっと」という思い。これに応えることこそが、玉川教育たるゆえんなのだ。アメリカの小学校でインターンシップを体験した今西佑さん。オリジナルの教材や学ぶ環境を整える教育方針に感銘を受けた。こんなに充実した留学プログラムに参加できるのは玉川だからこそ、と力強く語る。坂本悠靖さんは、5年生のときにアメリカ・ハーカー校を訪問。学校での学びのほかにも多くのイベントに参加。ユネスコの世界遺産に登録されたヨセミテ国立公園ではホームステイ先のバディとともにハイキングを楽しんだ。比嘉千亜紀さんはヨルダン・キングスアカデミーで1カ月間の研修プログラムに参加。ヨルダン人やアメリカ人の生徒と趣味のカメラやファッションの話題で盛り上がったそう。休日には観光も楽しんだ。タイのラウンドスクエア会議に参加した大倉由莉さん。会議では、手作りの名刺を配って多くの人とのコミュニケーションを図った。ストリートチルドレンを助ける活動をしている人の話が印象に残ったと語る。11vol.01

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