学校法人 玉川学園 Puente 2012.06 vol.02


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未来へのまなざしキャンパス今昔ものがたりSPECIAL2TAMAGAWAVISION2020」を掲げ、未来に向けて新たに舵を切った玉川学園。大学教育のさらなる充実を目指し、施設整備における目玉が「大学MMRC」(仮称)の新設である。MMRCとはマルチメディアリソースセンターの略。この構想は、以前からの念願であった「学術情報図書館」建設計画にはじまる。計画にあたっては、たいへん多くの方々からご支援をいただいており、諸条件を一つひとつ解決し、これから紹介するプロジェクトが具体化した。 これまでは印刷物の書物を収蔵する図書館が知の拠点であったが、今や知は書物のみにとどまらず、デジタル化によって電子ジャーナルをはじめとしたさまざまなメディアに情報が収められるようになった。近い将来、従来型の図書館では知の環境変化に対応しきれなくなると予想される。その見通しのもとに2008年ごろから検討されてきたのが大学MMRC構想だった。 Eエデュケーションセンター長を務める橋本順一教授は、大学MMRCのコンセプトをこう説明する。「網羅的、かつ専門的な書籍や資料を収蔵し、自由に閲覧できる場という従来の図書館機能はやはり必要不可欠です。しかし、社会の要請が変化し、昨今は深い考察能力や問題解決力が求められるようになりました。大学は、学生たちに新しい学力を修得する場を提供しなければなりません。それが大学MMRCです。知の集積としての図書館機能に加えて、シームレスに学習へ導く機能を付加することによって能動的な学習を促し、研究の場としていきます。このための先端の学習環境とともに、これから先の変化に対応できる柔軟性を考慮しているのです」。 大学MMRCの収容可能な蔵書数は約130万冊で、現図書館の蔵書数約90万冊の約1.4倍、また学習座席数は1044席(現行695席)を計画している。1席当たりのスペースも約3.0平方メートルと国際的にも通用する、ゆったりとした空間だ。また授業から授業までの学習プロセスを考慮しながらMMRCの機能を区分して、1階から4階までの各フロアの利用目的が直感的に分かるように配慮している。 学生にとっては正門側の1階から入って4階へ抜けていく動線をこの大学MMRCはもっていて、入館口が2つある。これも互いの学習意欲を見える化し、共感を生むような仕掛けになっているという。 これまでは広大な玉川キャンパスに学部それぞれの図書室を設置していたが、「大学MMRCは玉川池のほとりに建設されます。すべての学生がこの棟を通過しないと学内に入れないつくりになっているのです」と橋本教授。 1・2階は学習や研究に直結した資料を配置して個人学習を重未来の学びや玉川の新しい顔が続々誕生正門付近が今生まれ変わろうとしている。穏やかな玉川池はそのままに、これからの時代にふさわしい教育拠点が次々と建設される予定だ。新施設の誕生によって玉川の教育はどう進化するのだろうか。文=林愛子 写真=相澤裕明(P6)、神ノ川智早(P7、8)DAIGAKUMULTI-MEDIARESOURCECENTER2015.4大学MMRC新たなる知の源泉橋本順一(芸術学部教授Eエデュケーションセンターセンター長)北川昭一(総務部管財課課長補佐)武林輝曉(図書館収集課課長)6VOL.02


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