学校法人 玉川学園 Puente 2012.06 vol.02


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2011年8月、IBクラス10年生(当時)の生徒たちは世界遺産研修旅行で和歌山県を訪れた。伊勢神宮、熊野古道、高野山を歴訪する3日間。森本信雄教諭は「生徒たちがアイデンティティを確立するうえで日本文化の理解は欠かせません」と、その目的を話す。 実は、この研修旅行は玉川学園同窓会の支援を得て実現したもの。伊勢神宮では同窓生の湊一彌さん(修英98)が英語のガイドと神楽を手配してくれた。熊野古道でガイドを紹介してくれたのは同窓会和歌山支部長の武田丈夫さん(農学72)だ。おかげで、台風が近づくなか、生徒たちは小雲取越コース12キロメートルを無事歩き切ることができた。 「小さな石にしか見えない祠ほこらが、ずっと昔にお茶屋さんがあったことを示しているとガイドさんから聞いて、歴史に触れる感動を覚えました」。千葉一磨さんは、研修旅行での経験をこう語った。 歴史を振り返ることは、現代を深く理解するための重要な作業。金剛峰寺の僧侶である稲葉慈順さん(農化98)は、日本における仏教の歴史を丁寧に説いてくれたという。 皆、たくさんの感動を胸に帰宅した。だが、そこに飛び込んできたのが、台風被害のニュースだ。つい先日歩いた熊野古道が大雨で崩れ、すぐ近くまで行った熊野那智大社の社殿に土砂が流れ込む映像に衝撃を受けた。 「何か自分たちにもできることはないか…。皆で話し合い、9-12年生の天空祭(ペガサス祭)で募金活動をしようと決めました」(千葉さん) IBクラスが実施した紀伊半島への募金活動は、大学のコスモス祭につながる。研修旅行を支援してくれた和歌山支部の同窓生が、特産品を販売する物産展にチャリティイベントとして参加したのだ。 「助け合い支え合うことで、新たなつながりができることを実感しました。他県の出来事は人ごとではありません。こうした取り組みが広がれば、国同士の助け合いも決して夢ではないと思います」(笹岡優里さん)。各地で歓迎してくれた同窓生との思いやりのキャッチボールは今後も続いていく。研修旅行で生まれた同窓生との絆世代を超えて届ける思い文=編集部 写真=吉澤咲子同窓会とのつながり同窓生の湊さんは、伊勢神宮参拝にも同行し生徒をサポートしてくれた。熊野古道は想像以上にハードな道のり。皆、ガイドさんに助けられた。3日目はスイス人の僧侶クルトさんのガイドで高野山を巡った。研修で得たつながりを今後の活動に生かしたいと振り返る。左から千葉一磨さん、笹岡優里さん。研修の思い出がつまった品々。お守りは笹岡さん、仏像は千葉さんのもの。18VOL.02


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