学校法人 玉川学園 Puente 2013.06 vol.03
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Puenteたまがわ│11■ Tamagawa Annual Report│新時代への取り組み単位の実質化ELFプログラム教学部長菊池重雄 教授ELF運営委員会委員長小田眞幸 教授レベル別にクラス分けする英語教育 英語力のアップは日本の教育界における永年の課題でした。特に社会に出る前の時期となる大学での英語教育には多くの期待が集まっています。その一つの方策として玉川大学が2012年に導入したのが、「EFL(English as a Foreign Language)プログラム」です。そのポイントは、教育内容を四段階に分けて確実にステップアップしていく点と、学部学科に関係なくレベルにあったクラスで学ぶ点。この制度を担当するELF運営委員会委員長の小田眞幸教授に話を伺いました。「昨年、このカリキュラムを文学部と経営学部に導入しましたが、学生の意識は変わってきているように思います。この授業形態だと難易度が確実に上がっていくので、今のままでは次のセメスターで成績が落ちてしまうという危機感が学生にはあるようです。そのため勉強法などについて相談に来る学生が増えましたね」。ネイティブ以外の英語教員から学ぶメリット さらに今年度はプログラムの見直しを行い、名称もELF(English as a Lingua Franca)に変更。「これは国際的に主流となっている概念。国際共通語としての英語の認識を強めようということです」と小田教授。学生が卒業後に英語で話す相手は、何も英語を母語とする人ばかりではありません。むしろ、非英語圏の人と話す機会のほうが多いかもしれないのです。そこでネイティブスピーカーと限定せずに英語教員を募集。自らも豊富な外国語学習経験があり、さまざまな文化的背景を持った教員から英語を学ぶ機会を設けました。こうした意図で英語教員を募集している教育機関はほかにはないとのこと。本学独自のこうした取り組みは、学生の英語力向上にプラスとなるのではないでしょうか。英語を「使える」ようになること。それがこのEFL改めELFというカリキュラムの目標なのです。履修単位数の上限を16単位に制限 大学の卒業生の皆さんは、学生時代に履修授業を決める際、とりあえず受講しておこうと、多めに申請していませんでしたか? 結局は途中でいくつかの授業の履修を諦めてしまったという人も多いと思います。「それでは無駄も多いし学生のモチベーションも下がってしまう。なにより、各科目の自習時間を考えたら、そんなに多くの授業を履修できません」と語るのは、教学部長の菊池重雄教授。そこで2013年度から導入されるのが、単位の実質化です。これは履修単位の上限を16単位に設定し、それ以上は履修できないというもの。これまでよりも履修できる科目数は減りますが、その分一つひとつの科目の予習・復習に割ける時間が多くなります。教育の国際化は語学力アップだけではない 予習・復習を前提とした単位の実質化。学生は今まで以上に緊張感を持って授業に臨むことになります。また、やるべきことが増えるのは教員も同じ。「事前に授業内容を決めて学生に伝えることが必要となるので、教授陣も大変ですね。ただ、海外の大学ではそれが当たり前なのです」。菊池教授自身が学生だった頃に初めて留学した際も、言葉の問題などもあり10単位も履修できなかったそうです。「文部科学省は大学教育の国際化を強く謳っています。語学力の強化などももちろん重要ですが、教育内容を国際的な基準に合わせることにも同時に取り組んでいくべきではないでしょうか」。他大学がなかなか導入することのできない単位の実質化。この改革に踏み切ることができたのも、小原芳明学長の強力なリーダーシップと、関係する教員及びスタッフの努力と熱意があったからに違いありません。

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