学校法人 玉川学園 Puente 2013.06 vol.03
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Puenteたまがわ│27■ Alumni and Alumnae│全国で活躍する卒業生 「昭和50年代に岡山県の最北端川上村(人口2800人)の村おこしで『ヤマブドウを量産してワインを造り、蒜山高原をワインの里に』をキャッチフレーズにヤマブドウの栽培化がスタートしました。 ヤマブドウは日本にしか自生していない野生のブドウです。山から枝を採取し「挿し木」で増やしています。 当初は「山の物だから、放っておけば実は生る」と言われていましたが、雌雄異株、良く実をつける樹・つけない樹などの個体差、晩霜害など次々に課題が出てきました。 そのため岡山大学と共同研究を続け、少しずつ問題点を解決してきました。系統選抜は当初果実が多く取れる樹を選抜していましたが、現在は果汁成分が良い樹の選抜を続けています。 ヤマブドウの実は小さく果皮が厚いため、除梗(葡萄の粒がついている小さい枝と実を分離する作業)、破砕機を通しただけでタンクに移す方法では、果汁が少なく、果皮が浮き上がる状態になります。このように、ヤマブドウを原料とするワイン造りには、一般のワイン専用品種の醸造技術だけでは成功しない特殊性があります。 ヤマブドウ果汁はワイン品種と比べると有機酸とポリフェノール含量が非常に高く、一般的な醸造方法では酸味と渋味が強いため、飲みにくいとする評価がありました。そのため果汁を最大限に絞りだす工夫、酸味、渋味の軽減など、さまざまな工夫をして品質向上に努めています。 ヤマブドウは特に西日本では珍しく、まだあまり利用されていない地域資源です。 そして果汁成分のアントシアニン含量は赤ワイン品種(カベルネ・ソービニヨンなど)の2.5~4倍あり、全ポリフェノール含量も比較的高くその機能性が注目されています。 醸造を始めて15年経過したころからワインコンクールで毎年受賞できるようになりました。特に2006年に全国むらおこし特産品コンテストで「山葡萄・赤」が最優秀の経済産業大臣賞を受賞することができました。 ヤマブドウ果汁中にはアントシアニンの光分解を防ぐ成分が含まれており、高い光安定性はワイン原料として優れた特性の一つです。そのようなワイン原料としての可能性を引き出し、さらに品質の向上に努めていきたいと思っています。 農水省の事業を活用して平成22年4月に新ワイナリーがオープンし、生産から加工・販売まで一貫して取り組めるようになりました。まずは原料確保のため、自社圃場を拡大したいと思っています。そして現在、ワインのほかにヤマブドウを原料とした100%果汁、炭酸飲料、搾りかすを蒸留したグラッパ、ワインにハーブを加えたリキュール、ワインビネガー、ジャムを製品にしていますが、お客様の声を直接聴くことによって、よりお客様の立場に立った商品開発をしていきたいと思います。 これからも地域の資源を使い、よりよい製品を製造販売することによって、地域の農業・観光に少しでも貢献できたらと思っています。 ワインの通信販売はもちろんのこと、ソムリエも認めるノンアルコール飲料やジャムも扱っています。特に、「妖精たちの宴」はカロリーも低く、ポリフェノール8倍、鉄分とカルシウムは7倍とソムリエも認めるぶどう果汁。子供用もありあますので、ぜひお試しください。」ひるぜんワイン URL:http://www.hiruzenwine.com 住所:岡山県真庭市蒜山上福田1205-32 TEL:0867-66-4424

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