学校法人 玉川学園 Puente 2014.06 vol.04
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Puenteたまがわ│03、玉川学園から始まる。うに変革、整備すれば「ゆめの学校」の実現に一歩でも近づけるのか、さまざまな角度から検証し、得られた結論を次の教育活動に反映させていくことが重要です。 また、建学の理念「12の教育信条」で、「第二里行者と人生の開拓者」を掲げ、地の塩、世の光となる、独立独行の開拓者的実践力をもつ人材の養成を目指してきました。未知の世界へ踏み出す「初めの一歩」には不安や怖さが付きまといますが、一歩を踏み出そうとする子供たちに、迷子にならないための力と勇気を与えて背中を押すことが、これからの学校にいっそう求められる役割です。どこへ導こうとしているのか、目的を明確にし、新たな改革に役立てて次の時代へつなげることが、私たちの責務だと考えています。 政治や社会が激しく変化し、日本に限らず世界全体がグローバル化に向かって進み、教育界にも大きく影響を与えています。国内に目を向ければ大学全入時代であり、従来の枠組みを踏襲する教育では、激動する社会を生き抜ける人材を輩出するのは困難です。時代とともに大学の教育は大きく変貌しようとしているなかで、玉川学園では早くからこの動きに対応するために、初等教育・中等教育にさかのぼって教育改革に着手し実践してきました。 その核となるのが、1996年に玉川学園で検討が始まり、2006年度から導入した「K-12一貫教育」です。幼稚園(Kindergarten)の3年と小学校から高等学校までの12年を一つの教育期間として捉える一貫教育体制で、創立者の教育理念にある「全人教育」に基づき、一つの方向性をもって育成し、能力をより高めるものです。小学校から高等学校までの区分■ Special Talk│85周年を迎えてけを、現代の子供たちの心身の発達に合わせて「4-4-4」制としました。現代社会では「ダイバーシティ(diversity:多様性)」が求められていますが、導入から8年目を迎え、一人ひとりが個性豊かに成長し、玉川学園独自の教育改革の成果を実感しているところです。 また、12の教育信条にもある「国際教育」を創立以来推し進め、真の国際人の育成に努めてきました。長年の国際教育が認められ、2005年には国際規模の私立学校連盟「ラウンドスクエア」に日本初のメンバー校として正式に加盟しました。その後も世界を舞台に活躍する次世代リーダーを育成するIB(国際バカロレア)クラスの設置など、グローバル化に対応したプログラムは、玉川学園を象徴する先進教育として社会的に認知されるにいたっています。 これらの実績を基に、2014年3月、玉川学園高等部・中学部が文部科学省から「スーパーグローバルハイスクール(通称SGH)」の指定を受けました。SGHとは、将来国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることを目的に、国内の高等学校や中高一貫教育校のなかから56校を国が指定しました。国際化を進める国内大学を中心に企業や国際機関等と連携を図り、質の高いカリキュラムの開発や実践、体制を整備するものです。2008年指定の「スーパーサイエンスハイスクール(通称SSH)」を含め、SGHの指定により、これまでの実績をさらに有機的に結び付け、組み上げて、他校にない先駆的なカリキュラム開発をいっそう推進できると考えています。 2014年12月、玉川池の畔に学術情報図書館「大学教育棟 2014(旧仮称、大学MMRC)」が竣功します。創立85周年の記念すべき年に、念願の知の源泉が完成することは大変喜ばしく、皆様方のお力添えの賜物と深く感謝しております。現代のマルチメディア化に即応して、さまざまに活用できる最新の図書館は、多様性ある学びの場となり、児童から学生にいたるまでの力を支えるものと期待を込めています。 「大学教育棟 2014」は新たな教育・研究活動を推進する場となりますが、さらに先を見据えたさらなる活動を次々と展開していきたいと考えています。その一つに、教員養成があります。日本では戦後から長く続いてきた「6-3-3」制への見直しの議論が高まり、教育現場では小学校から英語の科目が追加されるなど、時代に即した新しい教員養成が喫緊の課題となっています。 そこで「教員養成の玉川」と高い評価を受けている玉川大学では、2013年度から画期的な英語教育カリキュラム「ELF(English as a Lingua Franca)プログラム」を導入しました。「誰にでも伝わる国際共通語としての英語」の修得を目指し、多国籍のマルチリンガルの教員を配置して、真のグローバル人材を育てていきます。 また、今年度から音楽や美術などの芸術教育を幅広く、かつ深く学ぶ芸術学部芸術教育学科をスタートさせ、2015年度には高度な英語力と国際感覚を備えた英語教員および社会で活躍できる人材の養成を目指した文学部英語教育学科を開設します。また、教員養成を担当する大学教員を育成する「教師教育学研究」と「IB研究」のコースを日本で初めて大学院修士課程に開設しました。今後は、理科や数学などの科目についても教員養成のカリキュラムを開発し、教員養成までを視野に入れた教育改革を積極的に推進したいと考えています。 創立以来、「全人教育」を掲げ「開拓者精神」をもって、教育改革の先駆者として挑戦を続けてきました。これからも世界に通用し、世界から評価される玉川学園・玉川大学の教育の充実に努め、グローバル化の時代をたくましく生き抜く次世代の人材の育成に励んでまいります。充実した学びを約束する環境教員養成まで含む全人教育を推進

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