学校法人 玉川学園 Puente 2015.06 vol.05
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Puenteたまがわ│03■ Message from Tamagawa│学長・学園長メッセージ実に智育を高める修得主義」へと変革させた「教育の質保証」の取り組みが成果として表れ始めていると実感します。また学生諸君は、このような複合的な学修の場を渇望していたことを改めて確認しました。一方教員にとって、最新で最適な学修環境が整った今、学力向上、教師力向上に結びつける最大限の活用法を見出す試行錯誤の段階にあるとみています。結果が出るまでにはある程度の期間が必要ですが、みなさまとともに大いに期待を寄せたいと思います。 地球規模でグローバリゼーションが加速する現在、日本を取り巻く状況は以前にもまして厳しく、他国への影響力の低下が懸念されています。一方で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)では近隣諸国が連携した社会経済活動が活発化し、日本も多国籍メンバーの一員として交渉事を進める機会がいっそう増えるでしょう。この状況は日本の社会が求める人材にも影響を及ぼし、今まで以上に「交渉して勝てる能力を持った人材」が求められると考えます。 同時に教育界においては、社会の要求に合わせた改革を推進しなければなりません。これからの日本人は「和を以て貴しとなす」の日本の伝統的な思考の枠組みと、欧米的な合理性を重視する思考の枠組みの二つを有する人材が必要とされると思います。今や日本人がもっとも大切にしてきた日本的思考だけでは、諸問題が解決されない状況にきています。欧米的思考の枠組みを理解し、その立場に立って考え解決法を見出せる、列国と対等に渡り合える人材を育成する環境を整えたいと考えています。 この玉川学園の豊かな環境の中で、日本人らしい感性をしっかりと育みつつ、一方で社会の変化に対応した人材の輩出を目指した仕組みを次々と提供しています。その一つが、2016年4月にスタートする日本語と英語のバイリンガル教育で、小学1年生からの「BLES」、3歳からの「BLES-K」で、英語漬けにするイマージョン教育とは一線を画した、玉川学園独自の「日本語と英語による読み書き計算」を学べる環境です。先ごろ開催した説明会には想定以上の保護者の参加がありました。本学のバイリンガル教育は、「BLES-K」から「BLES」へ、そして「国際バカロレア(IB)クラス」へとつながります。子供たちが社会へ出る時に、選択肢を無限大に広げる手助けになればと考えています。 一方、未来の子供たちを指導する教員を養成することも、本学に課せられた使命です。「アクティブ・ラーニング」は大学だけでなく、いずれは小学校・中学校・高等学校でも導入されることになりますが、既存の校舎の中でどのように運用するかが世界で通用する考え方を学ぶ今後の課題になるとみています。あるものでどのように工夫するか、教員一人ひとりがイマジネーションし、クリエーションする力が問われるでしょう。それは、教員を養成する側の大きな責任でもあります。「大学教育棟 2014」をはじめとする多様な環境を活用して実体験し、二つの力の基本となるものをしっかり学び取り、日本の教育界に「アクティブ・ラーニング」を浸透させる原動力となることを期待しています。 また、日本の教育に欠けている部分を玉川学園では率先して補っていきたいと考えています。その一つが「議論のルール」です。多数を相手に意見を述べて説得させる技術で、欧米では幼少期から授業で学んでいますが、日本ではなされていません。私はアメリカ留学中の高校の参加型授業で発言しても相手にされない経験をしました。後にアメリカの大学で「ロジック」を学び、議論のルールに則っていなかったため、彼らも反論のしようがなかったと理由が分かりました。日本の教育界で浸透していくであろう「アクティブ・ラーニング」は、議論が重要な位置を占めており、学修のためにも「議論のルール」を幼少期から学べるようにしたいと考えます。 ほかにも、「哲学」や「数学」の早期の学習スタートで高等教育への準備を積み重ねることができればと思います。論理的な思考の枠組みを身につけるには、すべての学問の始まりである哲学を避けて通れません。確かなデータを提示できる数学的思考は、論理的思考の一つの武器です。 学んでほしいことが次々と浮かんできますが、具現化への努力を玉川学園は惜しみません。今もこれから先も、私たち玉川学園は来る社会の変化を推測して柔軟に対応し、世界でたくましく活動できる子供たちを送り出してまいります。未来社会を予測し教育環境を整える▲「大学教育棟 2014」2階わたり廊下にて

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