立命館大学 沖裕貴教授によるFD講演会を開催

2013.02.28

2月21日(木)、大学の全教職員を対象とした「大学FD・SD」報告会・講演会を開催しました。ファカルティ・ディベロップメント(FD)とは教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みのことであり、スタッフ・ディベロップメント(SD)とは事務職員・技術職員などを対象とした大学の管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取り組みのことです。午前中は高等教育機関及び高等教育附置機関の部長から、本学の中・長期計画をまとめた「Tamagawa Vison 2020」の進捗状況の報告があり、午後には立命館大学 教育開発推進機構 教育開発支援センター長 沖 裕貴 教授を講師にお招きし、「FD講演会」を行いました。今回のテーマは、「中教審答申が求める教育の質保証に向けて―ルーブリック評価の考え方―」です。

始めに、昨年8月の中教審答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」について、基本的な視点と各大学に求められる手立ての説明がありました。今、大学に限らず学校制度全体に対して、学生の学修成果を踏まえ「プログラム中心の教育」に重きを置くことが求められており、そのために大学は内部質保証システムを構築することが必要といわれています。沖教授は、システムの維持・管理にあたり、とりわけPDCA サイクルにおけるPlanの段階で、ディプロマ・ポリシー(Diploma Policy:DP 学位授与方針)とカリキュラム・ポリシー(Curriculum Policy:CP 教育課程編成方針)を、学生目線でわかりやすく明示することが重要であるとお話しくださいました。

大学教育における内部質保証システムは、次のようなサイクルで運用されます。学部や学科ごとに建学の精神に基づきDPを策定し、さらに DP を実現するためのCPと、それに基づく「教育課程(カリキュラム)」を編成し、その上で授業等を通じた教育を展開します。こうした教育システムや学修成果の検証に対して大学自身が「評価」し、積極的に「改善」を図るという大きな流れがあります。加えて、定期的に認証評価機関から評価を受けることが義務付けられています。

沖教授は、このプロセスの中で、「体系性」「整合性」「適切性」「妥当性」「有効性」を保ちながら、前述のポリシーに加えて、アドミッション・ポリシー(Admission Policy:AP 入学者受入方針)を含めた3つの方針を公開し、学生に理解してもらうことが重要とおっしゃっています。とりわけ、DPを作成する上での表現としては、学生を主語にして、「○○について□□できる(I can…)」といった「行為動詞」を使って工夫することが望ましいと強調しました。しかし、この3つの方針を策定するだけでは十分でなく、各授業をより豊かなものとするために、「カリキュラム・マップ」「カリキュラム・ツリー」「観点別の到達目標を備えたシラバス」「観点別の到達目標ごとの成績評価基準」といった道具立てを活用した具体的な取り組みも、不可欠であると補足されました。

以上のお話しの後、日米の大学・初等中等教育の状況を見ながら、「ルーブリック」についてわかりやすく解説いただきました。ルーブリックとは、先の答申では「米国で開発された学修評価の基準の作成方法であり、評価水準である『尺度』と、尺度を満たした場合の『特徴の記述』で構成される。」と示されています。講演では、ルーブリック評価の運用は、特に定性的な授業の成績評価に有効と紹介されました。これにより、教員と学生との間で標準化された、公正で客観的な評価規準(criteria)や評価基準(standard)を、共有できるメリットがあります。また、大学教員の立場に配慮されたルーブリック評価の実際の手順について、詳細に説明してくださいました。参加した教職員は、パワーポイントを見ながら熱心にメモをとっている様子でした。最後に沖教授は、「到達目標の達成度を示すのが成績評価。客観的、厳格かつ公正な評価を間違いなく付けることが一番重要です。」と語り、講演を締めくくりました。

講演後の質疑応答では、ルーブリック評価の実務や効果、EU圏や北米でのルーブリックの運用の動向について等、多くの質問が寄せられました。沖教授から一つひとつ丁寧な回答・コメントをいただき、参加者は多くの示唆を得ました。これらは、各教員にとっては来年度からの担当授業の改善のため、また職員にとってはそれを促進するための原動力になりました。

これからも玉川大学は、このようなFD・SD活動も行いながら、学士課程教育の改革を推進し、教育・研究活動の一層の充実を図っていきます。