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熱殺蜂球でオオスズメバチを封じこめた ニホンミツバチの脳内活動を解明

2012.03.15

蜂球を形成した働き蜂の脳の高次中枢(キノコ体)で高温情報が処理される


本学の小野正人教授の研究グループは、ニホンミツバチが天敵であるオオスズメバチを多数の働き蜂からなる“蜂球”に封じ込め、その内部をその捕食者の上限致死温度を上回る47℃にまで上昇させて“蒸し殺し”にする行動を発見、さらにその行動の解発因となる餌場マークフェロモンの主成分を警報フェロモン成分とともに明らかにし、英国のNatureに2つの論文が掲載されました(Ono et al. 1995と2003)。変温動物である昆虫が、発熱を利用して天敵を撃退するという特異な現象の行動学や生理学的な面からの研究は積み上げられてきましたが、この“熱殺蜂球”を形成する働き蜂の脳内で何が起きているかについてはブラックボックスのままでした。

今回、その部分に光を照らしたのが、東京大学大学院の久保健雄教授と本学の小野教授がCo-corresponding authorとなるPLoS ONEに発表された論文です。First authorは、東京大学大学院の博士課程1年の宇賀神篤氏で、熱殺蜂球を形成しているニホンミツバチの脳の高次中枢(キノコ体)で高温という情報が処理されているということを、神経興奮のマーカー遺伝子(Acks)を用いて、脳内活動を可視化することにより世界で初めて明らかにするとともに、その領野を同定することに成功しました。脳が直接熱を感知している可能性が示された、大変興味深い内容となっています。

この共同研究の最中、2月5日に共著者の一人である本学学術研究所ミツバチ科学研究センターの吉田忠晴教授が肝臓がんのために御逝去されるという悲しい出来事が起こりました。研究に使用したニホンミツバチ蜂群は吉田教授が飼育管理されていたもので、亡くなられる3日前に、久保教授と宇賀神氏と小野教授の3人でお見舞いに伺った際、論文のアクセプトが間近であることをお話したところ、「来てくれて有難う。やったな!」と精一杯の一言があったとのことです。「絶望の淵におられながらも研究者としての夢を最後まで抱いて頂けたのが思い出となっています。」と小野教授は語っています。一人のミツバチ研究の重鎮を失いましたが、共同研究の絆は益々深まり、これからも続いていきます。

写真:ニホンミツバチの熱殺蜂球

オオスズメバチを包み込んだ働き蜂の集団
そのサーモグラフ(Ono et al. 1995,Nature)

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