日本における先進的なIT教育の取り組みを見学にボスニア・ヘルツェゴビナ国の研修団が玉川を訪れました。

2015.07.09

6月23日(火)、ボスニア・ヘルツェゴビナ国の研修団が玉川学園を訪れました。旧ユーゴ連邦から独立したボスニア・ヘルツェゴビナ国ですが、民族対立が完全に解消されたわけではありません。そうした状況が教育の現場にも影を落としており、民族によって見解が異なる国語や歴史などの多くの科目について、国内で統一した指導がなされていないのが現状です。そうした中で唯一、国家として統一された指導が行われているのが情報教育とのこと。そしてこの情報教育に関してはJICA(国際協力機構)を通じて日本政府が支援をしており、教科書も日本のものを翻訳して使用しているそうです。
こうした経緯もあり、今回ボスニア・ヘルツェゴビナ国から「総合高校におけるIT教育改善プロジェクト」というテーマで研修団が来日しました。研修団は今回の研修中にいくつかの高校を見学。玉川学園は2年前にもボスニア・ヘルツェゴビナ国の教育関係者の見学を受け入れたことがあり、今回も訪問先としては唯一の私立学校として選ばれました。

今回の研修で来日したメンバーは、ボスニア連邦教育科学省大臣補佐をはじめ、教育研究所メンバーや教員といった教育関係者の方々です。当日は玉川学園に到着後、情報科の登本洋子教諭の案内により「大学教育棟 2014」を見学。大学での図書館活用事例と協同学修スペースであるラーニング・コモンズを視察しました。その後、まずは低学年校舎へ。電子黒板などICTを活用した授業を見学した後、MMRCで生徒が情報収集や検索を行う様子を見学したり、サイテックセンターを見学しました。

また玉川学園が小田急電鉄と行っている「あんしんグーパス」や、生徒・保護者・教員をつなぐ「CHaT Net」などについても、とても関心をもたれたようです。研修員の皆さんからは「施設が充実していて素晴らしい」といった感想が聞かれました。質疑応答の時間では、研修員の方からのいくつかの質問がありました。その一例を紹介すると、「科学技術の分野で優秀な成果を出していますが、どのような支援をされているのですか」という質問に対して、登本教諭は「授業外の時間やクラブ活動でも支援をしています。ロボット部や化学部では、大会出場や論文発表も支援しています。またMOS世界学生大会への出場は、授業での取り組みでした。」と具体例を交えて説明していました。そのほかにK-12の一貫教育についての質問などもありました。

このように玉川学園の情報教育の特長は設備の充実度だけではなく、何よりK-12として小学部の3年次から情報教育を取り入れ、地道に積み重ねていること、そしてCHaT Netを日常的に運用していることが大きなポイントとなっています。「早い時期からITを活用することが日常の中に組み入れられており、継続的に行うことが成果として表れてきています。高等部の生徒などはキータッチが非常にスムーズですね」と登本教諭。そうした部分も、今回の訪問で研修員の皆さんに伝わったのではないでしょうか。

長い内戦によって、多くのものを失ったボスニア・ヘルツェゴビナ国。その中には書物も含まれています。建物とともに爆破され消失したものもあれば、民族的対立から故意に燃やされた書物も少なくないのかもしれません。
今回の玉川学園訪問が、ボスニア・ヘルツェゴビナ国の情報教育の進歩に役立つことを、そしてボスニア・ヘルツェゴビナ国の学校教育が充実していくことを願っています。