超高速量子通信研究センター

開発中の光通信量子暗号実験システム

本研究センターは光通信あるいは超高速計算機に代表される現代最先端情報技術を超える画期的な技術を開拓するため、量子情報理論の成果から導き出された新原理や新手法を産業界や現実社会に有益な技術に発展させることを目的としています。

特に、玉川大学で発明された強度変調方式の光通信量子暗号Y-00のシステム化や、実用化に向けた安全性評価装置の開発を進めています。

主な研究

1.光通信量子暗号(Y-00)の高性能化研究

現在、2.5Gbpsと10Gbpsの暗号通信装置を日立情報通信と共同で開発中であるが、高速性を保持しながら安全性を保証するには回路的な工夫が必要であり、理論的なサポートが必須となっている。その要求に応えるため擬似乱数生成器の非線形化などの対応策を開発する。また、データを多値基底に写像する回路の均一性が不十分であるため、新たな補助的ランダム化法を提案して、その具体化を目指す。さらに、第二世代の光通信量子暗号である鍵を盗まれても解読されない暗号の必要十分条件の証明法をさらに改善し、その実現法の提案を目指す。

2.光通信量子暗号(Y-00)装置の性能評価と性能改良技術の研究

国内外の企業と連携して、Y-00装置(第一世代)のギガビットイーサ通信(毎秒1ギガビット)など光ファイバ通信システムへの応用に向けた実験研究、およびY-00の強い安全性を示す様々な性能評価実験を実施する。また、毎秒10ギガビットへの高速化実験、更に、光時分割多重技術や波長多重技術等を用いて高速化限界や大容量化限界を追求する。加えて、強い安全性を具備した第二世代のY-00装置の設計と試作を行う。ネットワークへの適用に向けたトポロジなどの研究にも着手する。

3.光通信量子暗号(Y-00)の付加的ランダム化法の研究

実用的な光通信量子暗号システムは理論的な基本モデルに適切なランダム化技法を組み込むことで実現される。これまでいくつかのランダム化技法が提案されているが、多くは基本モデルとして位相変調型の光通信量子暗号を想定している。一方、本学が提唱し開発を進めている強度変調型の光通信量子暗号では、その信号配置から、位相変調型とは異なり、ある種の非対称性を有している。したがって強度変調型の光通信量子暗号に対するランダム化技法の開発の際に信号配置の非対称性を考慮に入れることでさらなる改善が見込める。そこで特に強度変調型の光通信量子暗号を対象としたランダム化技法の開発する。また、従来のストリーム暗号に対する攻撃をそれぞれ吟味し、光通信量子暗号へのその適用可能性を理論解析およびコンピュータシミュレーションを通じて検討する。そして、適用可能性の否定できない攻撃シナリオの下で、開発されるランダム化技法の安全性解析を行う。