量子情報数理研究センター

本研究センターは量子情報科学の基礎理論である量子情報理論とそれらから導き出される最新技術の新原理の実証実験を推進しています。

量子情報理論は情報科学の基盤となる従来の情報理論と物理学の基礎である量子力学を融合して、これまでの理論体系では実現が困難な情報技術を予言することを目的としています。特に、量子暗号や量子コンピュータの原理、それを実現するためのプロトコルの発見が重要な課題です。

主な研究

1.量子情報理論の基礎理論の研究

米国において宇宙光通信は基礎実験が可能なまでに発展しており、そのモデルであるガウス通信路に対する情報理論の成果が現実に利用される局面にある。その最終的な通信方式を理論的にサポートするために、これまで本学で開発してきた量子ガウス通信路の理論に基づいて、波形伝送方式の設計法の研究を進め、宇宙通信において、量子効果による技術的な利点の発見を目指すとともに、その達成法を解明する。

2.次世代型・光通信量子暗号の基礎理論の研究

現在開発中の光通信量子暗号はY-00プロトコルと呼ばれる光通信量子暗号の基本形である。この量子暗号の発展形として、暗号学のShannon限界を超える可能性をもつ一般化Y-00プロトコルを研究する。2011年度は、一般化として最も期待されている位相マスクを持つコヒーレント・パルス・変調システムの数学的モデルを作る。

3.量子誤り訂正と情報セキュリティのための符号理論の新展開

量子計算においてデコヒーレンス等の量子雑音に抗する技術として、また情報を盗聴者から秘匿するための技術として高性能な代数的誤り訂正符号が求められている。これらの符号の構成法の考案や基礎理論の構築を目指す。量子誤り訂正および量子暗号に有用な誤り訂正符号の研究が盛んに進められているが、本質的に、これらの符号は通常の線形符号の一般化である剰余符号(quotient codes)とみなすことができる。担当者は、符号理論の技術を駆使し、また量子情報理論の研究で得た知見をもとに、これまでに古典および量子盗聴通信路に有効な一般的な剰余符号の構成方法(従来から知られる連接法の一般化)を考案しているが、特に、最近、情報理論的に定式化された盗聴下通信の問題への適用において提案符号の漸近的最適性を示すことに成功した。これは明示的に構成された世界初の最適符号である。この成果を機軸に、基礎・応用を問わず多角的な発展を目指し研究を推進する。

4.導波路型非線形光学素子によるスクイーズド光の生成技術の研究

スクイーズド光は連続変量の量子演算を実現するための重要な光源である。これまで継続的に行ってきたスクイーズド光の生成実験では、光パラメトリック発振器を用いた手法を用いてきた。この方式では実験的な調整の自由度が高いというメリットがある反面、実験系を大きくなること、機械的な制御機構が複雑になるといったデメリットがある。導波路型非線形光学素子で構成された光パラメトリック増幅器によるスクイーズド光の生成実験を手がけていく。本方式では共振器の制御機構が不要となり、スクイーズド光生成部の微小化が可能となる。同時に広い周波数帯域を持つスクイーズド光の生成が可能となり、工学的な観点から見ても重要である。将来的には量子演算機能を光チップに高密度に集積していくことが期待されている。

最近の研究成果

準備が出来次第掲載いたします。