玉川のアクティブ・ラーニング 7

経営学部国際経営学科 島義夫教授の授業

仮想株式投資でビジネスに直結する知識と思考力を獲得しています。

島義夫 Yoshio Shima
東京大学法学部卒業。ニューヨーク大学経営大学院修士課程経営管理研究科ファイナンス修了。ゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレー証券などを経て2009年から現職

私が担当するゼミ形式の授業、「プロジェクトセミナー」のⅡとⅢでは、金融・財務に関連するコーポレートファイナンスと呼ばれる分野の知識と理 解を深めることを目標にしています。学生のほとんどが銀行、証券、不動産をはじめとしたファイナンスの知識が必須の業界に進むことを志望しています。その他に進む場合でも、企業で働くなら、自社の事業や状況に精通するためにファイナンスの知見は欠かせません。

授業は「英語で学ぶ」スタイルです。教材として世界標準の英語のテキストを使用します。ビジネスのグローバル化に伴ってファイナンスでも新しい考え方やキーワードが次々と生まれていますが、それらはいずれも英語。英語でフ ァイナンスを理解することは、今後ビジネスパーソンとして生きるための前提とすら言えます。

授業は学生がテキストの内容を十分に理解することから始まります。日本語に直しても難易度が高く、1回の授業あたり予習に4、5時間はかかるはずです。教室では、学生が教科書の内容を日本語で発表し、私が彼らの理解を問い、議論します。知識獲得と議論がセットのシンプルなアクティブ・ラーニングを実践しているのです。

学生はファイナンスの学修と同時に株式学習コンテスト、日経STOCKリーグに参加して力試しをします。これは東京証券取引所に上場する企業の中から10社を選び、仮想の投資を行うものです。

主に全国の大学が参加するきわめてハイレベルなコンテストで、2016年度は約1,600チームが競いました。各チームが、「オリンピック」「インバウンド」など、投資対象選定のためのテーマを設定し、10社に投資する想定でレポートを作成します。

レポートでは「テーマ設定の根拠は?」「投資対象の企業が優れている点は?」といった問いに答えなければなりません。学生は株式投資におけるストラテジスト(戦略立案者)になるわけで、ゼミの学びはその職務をしっかり遂行することにつながります。

ROE(株主資本利益率)、フリー・キャッシュフロー、資本コストなど、学んだ専門的な概念を使って企業を分析する
板書はすべて英語で行われる。知識の理解度はすぐに実践の中で試される

3年次秋学期にゼミが始まり、4年次は日経STOCKリーグでのテーマを具体的に検討・設定し、レポート作成に着手します。全国規模のコンテストは視野を広げるだけでなく、自己研鑽の刺激にもなります。学生には英語での学修やコンテスト参加を通して、グローバルビジネスに直結する力を身につけてほしいと思います。

ビジネスの現場で即戦力になるために

中田ウォルフさん
経営学部国際経営学科3年

学生はファイナンスの概念や用語を事前に理解して授業に臨む。テキストには調べたことをびっしり書き込んでおく。「どの授業より予習に時間をかけています」(中田さん)

僕は経営コンサルティングの世界をめざしていて、「ファイナンスの理解を抜きに経営判断はできない」と考えて島先生のゼミを志望しました。

MBA(経営学修士)で外資系金融マンのキャリアを持つ島先生の知識量は圧倒的。念入りに予習しているつもりですが、「わかっていないな」と、ゼミの全員が理解不足を厳しく指摘されることも珍しくありません。でも次回があるから落ち込んでいる暇なんてないんです(笑)。授業後は仲間と励まし合いながらまた予習に入ります。

英語のテキスト使用や、日経STOCKリーグ参加、TOEIC700点突破の目標など、ゼミのハードルはかなり高いです。だから本当にやる気のある学生が集まって切磋琢磨している感じですね。

インターンシップで他大学の学生と共同作業をするときはゼミで学んだ基礎知識や考え方が活用できて、議論もかみ合う感じがします。学んでいることに自信が持てるし、グローバルなビジネスの現場で通じる共通言語を習得している手応えがあります。成果を早くビジネスの世界で試したいですね。

学びのDATA

ファイナンスの学修と日経STOCKリーグ参加を行う島義夫教授の「プロジェクトセミナー」(Ⅱ・Ⅲ)は、卒業までにTOEIC700点突破を目標に掲げる。ファイナンシャルプランナーの資格取得も奨励し、在学中に社会人レベルの2級に達する学生もいる

使用する英語のテキスト。学生は例年TOEICのスコアを100から200点ほど伸ばしている

学生が過去に日経STOCKリーグで設定した投資テーマ

2016年

  • 女性が輝く企業
  • インバウンド関連企業

2015年

  • ホワイトな企業
  • 介護ウォッチ! 社会から必要とされる仕事

2014年

  • 次世代エネルギーへの投資

2017年1月23日取材
『全人』2017年4月号(No.815)掲載