サムライアリ

クロヤマアリの巣から蛹と幼虫を連れて帰るサムライアリ
(大学7号館付近)

数百の黒いアリが隊列を成している場面を見かけたことがあるだろうか。これはサムライアリがクロヤマアリの巣に侵入し、蛹や幼虫を奪い取る「奴隷狩り」と呼ばれる行動である。

ほぼすべての種の働きアリは、自分の母親である女王アリが生んだ子ども(妹や弟にあたる)の世話をする。しかし、サムライアリの働きアリが行うのは奴隷狩りのみで、妹や弟の世話などの仕事はまったく行わない。そのかわり、不幸にもさらわれてしまったクロヤマアリの蛹や幼虫が、サムライアリの巣の中で成虫となった後、その命が尽きるまで奴隷としてサムライアリたちの世話をさせられるのだ。

襲撃の際、もちろんクロヤマアリも妹や弟たちを守るべく反撃を試みるが、攻撃に特化したサムライアリの大顎で撃われてはひとたまりもないようだ。

1回で数百匹を得られる奴隷狩りは、夏の間じゅう行われる。季節が秋から冬、春へと移り変わると、巣を出入りするのはクロヤマアリだけとなる。その間、サムライアリは巣の奥深くでひっそりと、次の夏が来るのを待っている。

(農学部技術指導員 宮崎智史)
『全人』2016年11月号(No.810)より

サムライアリ

学名:Polyergus samurai.
ハチ目アリ科

北海道から九州まで分布し、本州の太平洋側に多い。体長は働きアリで7mm前後、女王アリでは約1cm。巣の中には数千から1万個体のアリがいるが、大半は奴隷のクロヤマアリが占めている。残り数千のサムライアリのうち女王アリは1個体のみで、産卵に専念している

クロヤマアリの巣を集団で襲撃するサムライアリ(農学部第2農場付近)
クロヤマアリの大顎(黄色)に比べて鋭いサムライアリの大顎(赤)