ウチダザリガニ

屈斜路湖の水深1 mほどの岩場で。白い斑点のあるハサミを振る姿が信号を送っているように見えることから、英名は「シグナルクレイフィッシュ」

日本にいる3種のザリガニのうち、一番大きいものがウチダザリガニである。大きな個体になると、白い斑点のあるハサミの長さが体長とほぼ等しく、振り上げる姿は堂々たるものだ。北米から移入され、北海道摩周湖と滋賀県の淡海湖に定着。近年は人為的な放流により、道内全域や本州の数県に分布を広げている。

かつて北海道弟子屈農場近くの屈斜路湖にはニホンザリガニの生息記録があったが、今やどこにでもウチダザリガニがいる。湖を覗くと、あらゆる岩陰からウチダザリガニが顔を出し、まるでザリガニのアパートである。一晩カゴ網をかけておくと多く捕獲され、餌を探して長距離を移動していることがわかる。雌は秋に産んだ卵塊を腹部につけて冬を越し、翌春に孵化して独立した稚エビは、夏に岸近くの小さな礫の陰で見られる。

年々減少しているカワシンジュガイを補食して被害を与える一方、エゾウグイや外来種のミンクの重要な餌資源にもなっている。阿寒湖では、マリモへの食害を防ぐために駆除したザリガニが、ご当地グルメの食材としても活用されている。

(農学部教授 吉川朋子)
『全人』2016年12月号(No.811)より

ウチダザリガニ

学名:Pacifastacus leniusculus
ザリガニ科

原産は北米大陸北西部コロンビア川水系。日本には昭和初期に食用として持ち込まれた。動物分類学者の北海道大学 内田亨博士に敬意を表して名付けられた。近年になり在来種の生息環境を壊し、被害が大きいことから2006年に特定外来種に指定されている

ウチダザリガニが捕食していることがわかったカワシンジュガイ(中央)
大量にとれたウチダザリガニは茹でて食材に