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カドフシアリ

トビムシを捕食するカドフシアリの働きアリ

アリといえば翅(はね) をもたずに地表を徘徊する働きアリを想像するだろう。働きアリは生涯で一度も翅をもつことがない。一方で多くの種の女王アリには、成虫になった当初は翅がある(俗にいう羽アリ)。その女王アリは、同じく翅をもつ雄アリとともに飛翔して空中で交尾し、自ら翅をむしり取って巣作りを始める。それ以降、女王アリは生涯にわたって巣の外に出ることはない。日本全国に分布するカドフシアリも基本的にはこれに従うが、本学の箱根自然観察林に生息するカドフシアリは違う。

箱根自然観察林でみられる女王は成虫になったときから翅がなく、外見が働きアリに似ることから、職型女王とよばれる。職型女王は飛ぶことができないため、地上で交尾し、数個体の働きアリと一緒に巣作りを始めるなど、繁殖の様式が異なる。また、職型女王は本州・四国の高山地域や北海道などの冷涼な地域でのみ分布が確認されるため、カドフシアリが冷涼な環境に適応する過程で職型女王が進化したのだと考えられている。丸みを帯びたボディとゆっくり歩く様子がかわいく、個人的に最も好きなアリの一つである。

(農学部准教授 宮崎智史)
『全人』2018年9月号(No.830)より

カドフシアリ

学名:Myrmecina nipponica
ハチ目アリ科

九州から北海道まで分布する。体長約3㎜。湿潤な森林を好み、苔や石の下、木の実の中などの小さなスペースに営巣し、30個体程度のこぢんまりとした集団で生活する。地中でダニなどの土壌動物を食べて生活しているようで、地表を活発に歩くことは多くない

左上から時計回りに職型女王、働きアリ、オス、翅をもつ女王の標本。職型女王は働きアリに外見がよく似る
飼育の様子。ゆっくり歩くため、容易に飼育できる

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