『全人』2010年2月号 No.736より

• 自分そっくりのアンドロイドの開発をテーマに科学の究極の可能性を語る石黒浩大阪大学大学院教授

  「人間のすべての能力をロボットに移し換えたらいったい何が残るのだろう？」私はそんなことをずっと考えながらロボットの研究を続けてきました。最近では「心」すらもロボットに移し換えられるのではないかと思うようになったんです。心はさまざまなシーンの記憶の積み重ねの中で作られています。だから記憶をロボットにインプットしていけば、いずれはロボットも心を持つようになるのではないかと。
  その前に「心とは何か？」という大きな問いが我々の前には横たわっているわけですが、ある意味、ロボットは「人の心の鏡」であると私は思っているんです。ロボットが本当に心を持つようになるかどうかは分かりませんが、その仕草からは確かに心を感じる。我々の目は、ロボットに人間と同じような心を見てしまう。心を投影させたロボットを作ることで、逆に「人間の心とは何か」の答えの輪郭がはっきりしてくるような気がしているんです。

  「未来の人間像」 石黒 浩 p4

• 作家で評論家の高橋源一郎氏。競馬予想を新聞に連載、自身が生粋のギャンブラーでもある

  地上の論理とは、簡単に言うと経済の論理です。今日の1,000円より明日の2,000円。しかし、損得で回っていく経済論理とはまったく別の、もうひとつの論理が、人間の中に存在する。人間の脳には一般の経済論理とは別の論理にリンクする部位があって、宗教や文学、恋愛などは、その部分が司っているのではないでしょうか。ギャンブルも、宗教や恋愛に感応するのと、きっと同じ脳の部位が関与しているんじゃないかと想像してしまうんです。
  だからこそ、ギャンブルは宗教や恋愛と同じく、報酬だけを求めないし、一度ハマるとなかなか抜け出せないんです。宗教やギャンブルに依存する人の思考プロセスは、地上の論理でしか物事を考えない人にとってはとうてい理解できないはずです。

  「ギャンブルは時間軸を超越する」 p14

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目次

• 学術研究所人文科学研究センター公開講演会より

  未来の人間像
  ──アンドロイドの研究開発の視点から…石黒 浩

• 学園ニュース
  • ［大学］第3回IB国際バカロレア教育フォーラム開催…バーナード恭子
  • ［大学］TAMAGAWA InFORUM2009開催…梶川祥世
  • ［大学］全日本チアダンス選手権でジュリアスが総合グランプリ
  • ［大学］玉川版　突撃！ 第九八独立普通科連隊…菊地芳子
• 玉川大学グローバルCOE特別シンポジウム「ギャンブル、経済、脳科学」

  高橋源一郎 作家・評論家
  ギャンブルは時間軸を超越する

• 行事報告

  玉川大学 第九 演奏会…馬場眞二

• On Demand Education Report 9

  教育学部「インターンシップ」…岩田恵子

• 見つめる＆見つめ直す…家庭力 31

  アーサー・ホーランド 牧師

• 玉川の丘、再発見 31

  学ぶ力 卒業プロジェクト…白柳弘幸

• Book Review 67

  『おかあさんのやさしい手』…藤田愛子

• 学びの礎 9

  12年生の卒業アルバム レンズを通して見えるもの…鈴木新一郎

• MMRC通信 9

  高学年生のMMRC実行委員会…伊藤史織

• 研究エッセイ

  不可視を可視化する──現代美術による気づき…東方悠平

• Career Navigation '09-9

  仕事interview＆業界研究会

• 同窓会インフォメーション

  塾の会を開催

• 学園日誌…小原芳明
• Photos of the Day│創立80周年記念 玉川学園の集い
• 学園スケジュール│玉川大学・K-12のイベントと入試に関するご案内
• 表紙の風景│LOVEARTH 飯田みずほ 【作】
• 教育博物館館蔵資料紹介 219│四書集註…菅野和郎
• TAMAGAWA HEADLINES 学園近況
• 玉川の仲間たち│シュンラン…畑中喜秋