『全人』2009年4月号 No.727より
今月号の巻頭は、玉川学園がSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定された記念企画に招聘したピーター・フランクル氏の講話をまとめました。算数や数学と人生のかかわりを考察するとともに、解けそうで解けない「算数クイズ」も掲載です。
学園ニュースは、農学部のECO-TOPプログラム認定はじめ、K-12から大学までの学会関連を中心に取り上げました。また、「就活応援」として掲載した「ライフワークをさがす旅にようこそ」は、就活を迎える学生のみならず、ぜひ保護者の方々にも一読いただければと思います。
年度末の号を迎え、連載「脳科学研究所より」「学園レポートK-12」「玉川日和」は最終回を迎えました。ご愛読に感謝いたします。次号から新連載を企画しておりますので、どうぞご期待ください。
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日本は世界で二番目の経済大国になりました。どうして資源のない日本が世界で活躍できるようになったのでしょうか。それは、日本には「頭脳」という資源があったからなんです。日本人は、頭のよさ、手の器用さ、努力で国をつくってきました。僕が初めて日本に来たとき、日本人はみんな数学者みたいだと思いました。というのは、日本人は仕事をとても丁寧に最後までやるからです。数学や算数では、答えが99なら、99なんです。98でも100でもない。数学の答えはとても厳密で、日本では日常の仕事でも厳密さが求められています。最後の最後まできちんとやる姿勢がある。そこが数学的だと感じました。今日、僕は渋谷から新しくできた地下鉄に乗りましたが、この重いかばんを持って移動するためにエレベータやエスカレータを使いました。地下鉄だってエレベータだって、もとになっているのは理科や算数、数学です。このように日本はいわゆる先進国で、とても進んだ技術をもっています。それは理科や算数、数学の高い能力とそれを育てる教育が根幹にあるといえるでしょう。
「人生を楽しくする方程式」 ピーター・フランクル p4
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漢字の「働」は「人+動」を組み合わせた国字(和製の漢字)で、「人が生き生きと動く」意味合いがある。「いやいや動く」のは「働」ではない。ライフワークとは、「いのち」が生き生きと働き、さらに新化、 進化、深化、芯化するための「働き」なのだ。(中略)
旅行業界を志望したのは「旅行するのが好きだから」、化粧品業界を志望したのは「お化粧するのが好きだから」、出版社を志望したのは「本を読むのが好きだから」という。たしかに「きっかけ」は志望動機の重要な糸口だが、どういう「仕事」をしたいのか、職業人としての覚悟がなければ、いつまでも「お客さま」意識から抜けられない。もちろん、きっかけは「好き」であってほしいが、「好き」なことがそのまま「仕事」になるわけではない。「ライフワークをさがす旅にようこそ」 原山建郎 p32
目次
人生を楽しくする方程式…ピーター・フランクル
- 学園ニュース
- [大学]第3回特色GPシンポジウム開催…菊池重雄
- [大学]ECO-TOPプログラム認定取得!
- [学術研究所]「全人教育としての幼児教育」研修会…若月芳浩
- [学術研究所]第31回ミツバチ科学研究会を開催…中村 純
- 玉川大学脳科学研究所より11〈最終回〉
画家の脳のしくみとは?
- 玉川の丘、再発見! 22
真理の探究者 高学年校舎「アテネの学校」…白柳弘幸
- Book Review
『泣いた赤おに』…伊藤史織
- 実践報告
一茶まつり全国小中学生俳句大会…野瀬佳浩
- 行事報告
スキー学校 4年生…河野峻平
- 学園レポート K-12─8〈最終回〉
体験と実感から学ぶ玉川の環境教育
- 見つめる&見つめ直す…家庭力22
水無田気流 社会学者・詩人
- 「就活応援」特別寄稿
ライフワークをさがす旅にようこそ…原山建郎
- 玉川日和〈最終回〉
親も子どもも一年生…土本和美
- 同窓会インフォメーション
同窓会賞が決定するまで
- 学園日誌…小原芳明
- Photo of the Day│1-4年生 玉川学園展開催
- 学園スケジュール│玉川大学・玉川学園のイベントと入試に関するご案内
- 表紙の風景│青い鳥 小川奈緒子 【作】
- 全人2008.5~2009.4 No.717~727 総目次
- 教育博物館館蔵資料紹介 210│竜宮糸からくり組上…柿﨑博孝
- TAMAGAWA HEADLINES 学園近況
- 玉川の仲間たち│オオシマザクラ…石川晶生