『全人』2013年9月号 No.775より
2013年9月号 No.775
教師と学生・生徒自らが丘を拓き、道普請して生まれた玉川学園。今もこの豊かな自然環境それ自体が私たちの大切な教育設備です。今月号の特集は、教育12信条にもうたわれた「自然の尊重」。巻頭インタビューには、長野県の黒姫で森の再生に長年取り組むC.W.ニコルさんのインタビューを掲載しました。つづいて、玉川の丘の環境MAPと学園あげての環境への取り組みを紹介。学外施設である箱根演習林で30年ぶりに行われている調査についても報告します。
新しくスタートした連載「今月の一労作」では、日々の学びを形に仕上げた児童・生徒・学生の労作を発表。第1回は歴史あるバイオリン製作です。
-
本来、日本人は自然を尊敬して暮らしてきた。自分の生まれた場所を「世界一」と思える子どもたちが育ったら、どんなに素敵な大人になるでしょう。東松島の山には縄文時代の貝塚があり、昔は採石のため馬が通る道もあったという。自然をたどると、土地の歴史や伝統も見えてくる。自然を知ることは、「自分」のルーツを知ることにつながります。
自然から学ぶためには何も構えることなく、まず身近なところにある一本の木を見つめてほしい。ケヤキ、イチョウ……とその名を覚えると、自分にとって特別な木になります。淡い芽から新緑の枝葉が広がり、やがて色づくさまが四季を教えてくれる。幼い頃、僕がウェールズの森で一本の木を抱きしめたように、自然に近づく一歩になるはずです。「森に学ぶ」 p4 C.W.ニコル
-
幼稚部親子会の丘めぐりでは、毎回楽しく案内役をつとめさせてもらっています。(略)
花びらを拾って見せると、「ほんとだ。たくさんの花びらが上からも落ちてきているよ!」と、お父さんお母さん。すると皆いっせいに木を見上げ、「ほんとだ」。子どもたちも気づいて驚きが皆に伝わっていきました。
レイチェル・カーソンは著書『センス・オブ・ワンダー』で、子どもたちが自然への驚きや神秘を感じるセンスを培うには「子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくとも一人、そばにいる必要があります」と語りました。必要なのは自然の「知識」ではありません。ていねいに物を見て、その美しさや不思議さに感動できる心。そして、その感動を子どもと共有できる場をもつこと。これが親や教師の役割ではないか、このように私は考えています。「子どもと感動を共有できる大人でありたい」 p13 佐藤邦昭
目次
- [特集]自然の尊重
森に学ぶ…C.W.ニコル
玉川の環境取り組みMAP
知ってる? 玉川の環境プロジェクト
未来へとつなげていきたい 自然と生き、自然を尊ぶ心
故きを温ねて 4 自然を感じる森の幼稚園…白柳弘幸
研究エッセイ 箱根演習林の動物たち…杉本和永 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 学びの時間 25
文学部人間学科 近藤洋子研究室 - 生涯学べ 25
監物由利子 稲城市立公民館勤務 - K-12 学びの丘 4
7年生のゴミ拾い当番 - Our Job,Our Pride 14
学園マルチメディアリソースセンター 森本麻美さんの仕事 - [新連載]今月の一労作 バイオリン製作
- キャリアナビゲーション '13
就活データ「就活時にもっとも重視される【能力】とは ?」+
I H Iプラント建設株式会社 柴田浩史さんに聞いてみた - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 105 『揺れる日本語どっち? 辞典』…今井光子
- 教育博物館館蔵資料紹介 257
「算法最上流元祖及門人図」…菅野和郎 - 玉川の仲間たち 「イヌシデ」…市川直子