『全人』2014年2月号 No.780より
2014年2月号 No.780
2月号は特集を「音楽のある学校」としました。「歌に始まり、歌に終わる」と言われる玉川の学園生活。玉川っ子にとって音楽教育がどれほど強い支柱となっているかを、「第九」や音楽祭、ベルリン・フィルメンバーとの交流などの歴史をたどりながら紹介します。今年度の行事はもちろん、創立期にさかのぼる古い写真などもたくさん掲載しました。「学園日誌」でも小原芳明学長が、自身の「第九」経験と伝統ある音楽行事の意義を語っています。
研究エッセイでは「被災地での聞き書きから」と題し、文学部の太田美帆ゼミが復興支援に向き合った取り組みを報告。同時代に生きる学生たちに何ができるかの具体的なレポートは必読です。
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玉川の丘でベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章の「歓喜の歌」が歌い継がれてすでに70年以上。この至高の音楽に全身全霊でふれることが、人生の喜びを知り、力となり、世界を豊かにすると、創立者小原國芳が強い信念をもって「第九」に取り組んで以来の伝統です。
サントリーホールの晴れ舞台に立つのは、玉川大学管弦楽団と芸術学部合唱団。指揮は秋山和慶先生、4名の一流のソリストを迎え、今回も全楽章を堂々たる演奏で成功させました。舞台には卒業生が混じり、小原芳明学長も合唱に参加しました。
本演奏会とは別に、玉川大学では全学部の1年生が全員で第4楽章を合唱する「玉川大学音楽祭」が毎年行われます。ドイツの詩人シラーの頌歌にべートーヴェンが手を加えたという歌詞を原語で暗記して歌いきるという体験。最後の発声の後、歌う者の気持ちがひとつになり、圧倒的な達成感に包まれる瞬間を何度目にしたことでしょう。精神の基盤を本物の芸術で支えるとして、教育の場に音楽を取り入れたことの神髄を見る気がするのです。「歌い継がれる伝統の『歓喜の歌』」 p4
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学生が主体的に取り組み、ゼミという小さな共同体を皆で運営する体験は、より大きな共同体(社会)のあり方や、各個人の社会への関わり方、責任について考える機会にもなっています。
学生たちは、モビリア(※仮設住宅)で出会った方々の郷土に寄せる想い、自然や地域に感謝する気持ちに胸を打たれ、翻って自分の家族や地元に思いを馳せるようになり、「家族をもっと大事にしないと」「将来は自分の地域に貢献したい」という意欲が芽生えているようです。モビリアとの交流は、学生が自らの生活や社会を見直す鏡となり、ゼミ仲間のつながりを深める一助ともなっています。「被災地での聞き書きから」 p24 太田美帆
目次
- [特集]音楽のある学校
2013 玉川の「第九」
玉川学園と「第九」のあゆみ
歌に始まり、歌に終わる
クリスティアーネ・エンゲル女史:ピアノコンチェルトの夕べ
故きを温ねて 9 「玉川学園校歌」…白柳弘幸
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団メンバーによる
公開レッスン&コンサート
ベルリン・フィル メンバーとの交流レポート - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 学びの時間 30
工学部マネジメントサイエンス学科 阿久津正大研究室 - 生涯学べ 29
稲葉八重 ミューザ川崎シンフォニーホール勤務 - 研究エッセイ
被災地での聞き書きから…太田美帆 - Our Job, Our Pride 19
国際教育センター ファース真理子さんの仕事 - 今月の一労作 6 戴冠の聖母マリア(イコン模写)
- キャリアナビゲーション '13
就活データ「今の仕事を【選んだ理由】って?」+
銀座山野楽器 岩井大輔さんに聞いてみた - 学園日誌…小原芳明
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