No.9 フクジュソウ

観音庭園のフクジュソウ

早春をいち早く感じとり、まるまるとふくらんだ芽から光沢のある黄色の花を咲かせる。春を迎えた生命力が感じられ、新年を祝い正月を迎える花として、昔から親しまれてきた。まさに「福と寿」をあらわす花であり、別名の元日草もその名にふさわしい。

江戸時代末にはかなりの園芸品種が知られていたが、残念なことに大正時代以降には、多くのものが絶滅したといわれる。

玉川の丘では、観音庭園に植えられているものを見ることができる。もともとはやや湿った落葉広葉樹の林床を好むので、ちょうどこの場所が生育には適しているのであろう。まだ木々が新葉をつける前に、早春の光をいっぱいに浴びて生長する。やがて周りの青葉がしげる初夏になると、早々と地上部は枯れ、翌春に向けた栄養を地下部に蓄える。季節の変化に見事に適応した「春植物」のすばらしい生き方である。

(女子短期大学助教授 石川晶生)
「全人」2003年1月号(No.654)より

フクジュソウ(福寿草)

学名:Adonis amurensis
キンポウゲ科フクジュソウ属
別名:ガンジツソウ(元日草)
落葉広葉樹林内に生える多年草。葉は羽状に細裂する。
花期:2月~4月