No.16 ムクゲ

東口付近

燦燦たる陽光のもと、ひときわ目立つ花を新梢に次々と咲かせるムクゲ。強い日差しと青い空がじつによく似合う。夏を彩る代表的な花木である。

幹は折れにくく、直立してよく分枝する。茎の繊維は丈夫なため紙の原料にもなる。また開花期が長く、公園や生け垣にも植栽されている。玉川の丘では東口付近で間近に見ることができる。

花の印象からして寒さに弱そうであるが、耐寒性があり、性質は極めて強健で、「寒さに強いハイビスカス」といったところである。

花は両性で5枚の花弁からなる。花が大きく雄しべに特徴があるので、ついつい覗き込んでしまう。多数の雄しべが雌しべを囲み、基部で合着して筒状となり、花糸(かし)と葯(やく)が立ち上がっている。これはアオイ科に共通する形質である。花は一重や八重、花色は薄紫、白、桃などがあり、多くの園芸品種がある。

花は朝に開花し、夕方にはしぼむことから、「槿花(きんか)一朝の夢」という句もある。

種小名「syriacus」はシリア原産の意味であるが、本当の原産地は中国である。日本には平安時代に渡来していたようで、昔から親しみ深い。秋の七草の「朝貌(あさがほ)」はキキョウとされているが、このムクゲとの説もある。

白花系統の蕾を摘んで乾燥させたものが漢方でいう「木槿花(もくきんか)」である。胃腸炎などに用いられるそうで、ムクゲが中国から入ってきたことが理解できる。

(文学部教授 石川晶生)
「全人」2003年8月号(No.661)より

ムクゲ(木槿)

学名:Hibiscus syriacus
アオイ科フヨウ属
別名:ハチス
花期:夏(7月~9月)
原産地:中国
高さ3メートル程になる落葉低木