No.17 クズ

一面クズで覆われた木々

秋風に吹かれて白い葉裏をひらひらと見せる風情から「裏見草」とも呼ばれる。3枚の小葉の陰で、美しい紅紫色の花をのぞかせている。クズの甘い香りが漂うと、玉川の丘は少し秋らしくなる。

夏の太陽をたっぷりと浴びて大きく生長し、長く伸びた蔓は長さ10mにもなり、繁殖力の強さを見せつける。栄養価の高い葉は牛やうさぎなどの餌となる。また大きく肥大した根から良質なでん粉がとれる。昔から日本人にはなじみ深い大切な植物である。

日本から北アメリカに渡ったクズは「kudzu-vine」と呼ばれ、堤防の土砂止めや家畜の飼料として利用されてきた。現在では旺盛な繁殖力が禍(わざわい)して有害雑草となり、迷惑な存在でもあるらしい。

東山のクヌギ林などでは大きな株が見られるが、現在では数が少なくなっている。玉川学園の創立期から共に歩んできた古き仲間のひとつである。

(教育学部教授 梅木信一)
「全人」2003年9月号(No.662)より

クズ(葛)

かぐわしいクズの花(東山)

学名:Pueraria lobata
マメ科クズ属
別名:クズカズラ、マクズ、ウラミグサ(裏見草)など
日本各地に自生するつる性の多年草。根は大型で、良質のでん粉を含む。晩夏から初秋に紅紫色のかぐわしい花を咲かせ、秋の七草としてよく知られている。
花期:8月~9月