No.22 ヒイラギ

咸宜園前

木枯らしの吹く寒い冬にも、少しずつ春の足音が近づいている。立春を迎える前日の節分の夜には、ヒイラギの枝に鰯(いわし)の頭を刺したものを家の門口に立てて、大豆を撒く風習がある。つやのある常緑の葉の縁には針状の鋭い鋸歯(きょし)があり、いかにも悪い鬼を追い払いそうである。

ヒイラギは老木になると、丸い葉が多くなる。また葉は水酸化ナトリウムを用いた葉脈標本を作るのにも適しており、理科教材としても有名である。

秋に芳香でよく知られているキンモクセイ(金木犀)とおなじモクセイ科の植物である。晩秋から初冬のころにヒイラギは、香りのよい白色の小さな花を咲かせる。果実は翌年の夏に紫黒色になる。

クリスマスのリースなどの装飾に使われるのは、セイヨウヒイラギである。とげのある葉の形がよく似ているが、別の仲間のモチノキ科の植物で赤い実がなる。 咸宜園のヒイラギは、鋭い鋸歯のある葉と丸い葉が混在しており、老木であることがうかがわれる。

(教育学部教授 梅木信一)
「全人」2004年2月号(No.667)より

ヒイラギ(柊)

晩秋に芳香のある花を咲かせる

学名:Osmanthus heterophyllus
モクセイ科モクセイ属
関東以西の山地に自生する常緑の小高木。庭木としてよく植栽される。節分の夜、この枝と鰯の頭を門口に立てて、悪い鬼を追い払う。
花期:11月