No.26 ウツギ

初夏の到来を告げるウツギの花(観音庭園)

初夏の到来を告げる花である。枝先に、清楚で純白の花が数多く群がって咲く。その円錐花序をよく見ると、一つひとつの花は小さな鐘状である。

日本の各地に自生し、崖や道端などの日当たりのよい所を好む植物である。古くから愛されてきた花で、庭木や生垣にも利用されており、唱歌『夏は来ぬ』のなかで「卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来鳴きて」と有名である。

花に芳香はないが、新緑の初夏に純白に輝く花の情景をよく表現している。幹は名前のように中空となっているが、その材は緻密で硬く、木釘として利用される。

ウツギの根は長く伸びて移植しにくいことから、古くから畑の境を示す境界木としても植栽されてきた。学園創立当時の古い写真を見ると、畑やススキの原っぱがあり、当時は数多くのウツギがあったであろうと推察される。長い歴史のなかで、学園の丘の生き証人ともいえるウツギの花である。

(教育学部教授 梅木信一)
「全人」2004年6月号(No.671)より

ウツギ(空木)

若い果実(7月)

学名:Deutzia crenata
科属:ユキノシタ科
別名:ウノハナ(卯の花)
花期:5月下旬~6月
日本各地の山地に見られる落葉低木