No.27 トラマルハナバチ

カボチャに訪花

玉川の丘を散策すると、きっとどこかでマルハナバチの姿を見かけるはずです。毛玉のようなコロコロとした体を花にあずけ、まるで子猫がじゃれつくかのようにくるくる回ったり、ぶら下がってブーッブーッと羽音をたてたりしている姿は、可愛らしいぬいぐるみのようです。

マルハナバチが植物から食物としての花蜜と花粉をもらう代わりに花の受粉を助け、植物は実を結び種子をつくることができます。マルハナバチはさしずめ“花のキューピッド”といったところです。世界に約250種も知られる冷涼な気候に適応した社会性のハナバチで、1匹の母親の女王蜂を中心にたくさんの娘の働き蜂からなる家族で巣をつくり生活しています。

マルハナバチの授粉でできた中身の充実したトマト(右)
と植物ホルモン剤処理による種子のないトマト(左)

体全体を覆う防寒服のようなふさふさとした毛は、山吹色、黄色、朱色、黒、茶色などとてもカラフルで、それらの色で模様が描かれている種もあり、花の美しさに引けをとらないおしゃれなハチです。日本には14種分布していますが、玉川の丘にはトラマルハナバチとコマルハナバチの2種が確認されています。近年、マルハナバチの高い授粉機能がフルーツなどの生産にも注目され、私たちの食卓に美味しいトマトやブルーベリーを届けてくれます。

(農学部教授 小野正人)
「全人」2004年7月号(No.672)より

トラマルハナバチ

トマトの受粉に活躍

学名:Bombus diversus diversus Smith
ハチ目ミツバチ科マルハナバチ属
本州、四国、九州に分布し、北海道には別亜種エゾトラマルハナバチが産する。春に女王蜂が営巣を開始、夏から秋に大家族に発展、冬に解散という1年性の生活史を送る。口吻が長く、サクラソウ、ツリフネソウなどに訪花する。
体長:女王蜂25mm 働き蜂10~20mm 雄蜂15~20mm