No.31 ジョウビタキ

木枯らしとともにやって来る
「赤い冬の使者」(オス)

コスモス祭を過ぎる頃になると、学園のここかしこで「ヒ、ヒ、ヒ……」という秋の鳴く虫に似た澄んだ声が聞こえる。その正体はこの赤い鳥、ジョウビタキである。毎年、秋になるとシベリア方面から日本全国に渡ってきて、春になると北国に戻る典型的な冬鳥である。

大きさはスズメほどであるが、真ん丸で大きなつぶらな瞳、すっと胸をはった姿は非常に可愛らしく、スマートで気品さも漂ってくる。甲高い声で鳴きながら、時折カチカチと石をたたくような音をくちばしで鳴らす。これら一連の鳴き声が火打石を打つ音に似ていることから「ヒタキ」と呼ばれるようになった。

紋付き鳥たる所以(ゆえん)
(左がオス、右がメス)

美しい真っ赤な色をしているのはオスだけで、メスは全体的に薄い茶色であるが、両者とも後ろから見ると羽の両脇に白い大きな斑が目立つため、「紋付き鳥」とも呼ばれる。

ジョウビタキはしばしば鳴きながらピョコンと頭を下げておじぎをし、尾を振るが、このような可愛らしい仕草とは裏腹に、習性はきつい。単独で行動して自らの縄張りを主張し、時には仲間どうしでもみ合うことや、車の鏡に映った自らの姿に攻撃を加えることも稀ではない。

学園では聖山や文学部校舎付近でよく見られ、冬の到来を告げる。

(農学部助教授 田淵俊人)
「全人」2004年11月号(No.676)より

ジョウビタキ(尉鶲)

マシュマロのように
ふんわり見えるメス

学名:Phoenicurus auroreus
ヒタキ科ツグミ亜科(ツグミ科)
主にシベリア南部から中国西部、ウスリー、サハリンで繁殖。10月中頃から日本各地に渡ってくる。平地から山地の農耕地、河原、雑木林などに生息。主食はピラカンサ、ツルウメモドキ、ヒサカキなど木の実。雄の頭頂は銀灰色、胸、腹、尾は赤橙色。雌は全体が薄い褐色。
全長:約14cm