No.32 ナミテントウ

色鮮やかな集団越冬

玉川の丘に寒風が吹き、冬の到来を感じさせるころになると、校舎の片隅に小さなブローチのような昆虫が無数に集まります。暖かい季節に、草木につくアブラムシを食べてくれていた益虫ナミテントウの集団越冬が始まったのです。

よく見ると、オレンジ色の地に黒い斑紋をもつものがいたり黒地に赤の斑紋があったりと、いろいろな模様の個体が身を寄せ合っていますが、実は全部同じ種なのです。一匹一匹でも可愛らしいのに色とりどりの斑紋をもつ個体が何百匹も校舎に集合した様子は、さながらキャンパスのファッションショーのようです。

キイチゴの上の成虫

ナミテントウを含むテントウムシ科の種は、世界に約5,000、日本だけでも180も知られています。英語で“Ladybird”(聖母マリアの鳥)、日本語では“天道虫”と呼ばれ、昔から様々な国で昔話や詩に登場し、また切手のデザインにも採用されるなど、人々にもっとも親しみをもたれてきた昆虫の一つです。

最近では、農作物を害虫から守る環境に優しい“生物農薬(天敵)”としても注目されています。玉川大学農学部ではナミテントウを用いて、ユーカリの葉についたアブラムシを化学農薬を使わずに退治し、多摩動物公園のコアラに大好物を提供するという応用研究も展開しました。

(農学部教授 小野正人)
「全人」2004年12月号(No.677)より

ナミテントウ

羽化間近の成虫
(まだ斑紋は浮かび出ていない)

学名:Harmonia axyridis (Pallas)
コウチュウ目テントウムシ科
日本列島(北海道、本州、四国、九州)と近隣島嶼、アジア北・中部に広く分布。鞘翅(しょうし)の斑紋に著しい遺伝的多型が認められる。幼虫、成虫ともにアブラムシ類を貪欲に捕食し、生態系の中で重要な役割を演じる。越冬を終えた成虫は4月上旬から活動を開始し、年4回ほどの世代交代を行うと考えられている。
体長:7~8mm