No.36 ニホンメダカ

緑色に反応し、水草を好む

春の小川を眺めていると、思わず童謡『めだかの学校』を口ずさみたくなる。ひと昔前までは、日本のどこの小川でも群れたメダカを見ることができた。江戸時代の浮世絵には「めだかすくい」が描かれている。実際には上から素早く網を叩きつけるようにしないと採集できず、鍛錬が必要だが、メダカは昔から「すくう」ものであった。

「目高」と書く。目が身体に比べて大きく、前方に飛び出しているので、水面に浮かんだ餌を食べるのに好都合である。体色は、橙色を思い浮かべがちだが、それは改良されたヒメダカで、野生のメダカは黒メダカである。遠い祖先はイワシやサンマに行き着くらしい。

学名の「latipes」は
「広い尻ビレ」の意。
前の尻ビレがひらひら
見えるのがオス(右上)

玉川学園は、鶴見川、境川の源流にあたる。ずっと以前には周辺地域の水田に生息していた可能性がある。

近年、メダカは各地で姿を消し、絶滅危惧種に指定された。農学部の園芸植物学分野では、学園に関係の深い両水系のメダカを神奈川県の水産試験場の特別許可により譲り受け、飼育・繁殖させている。と同時に、日本に自生する水草の研究を進め、水草を水槽内で育てる「水草園芸(アクアリウム)」のブームのなかで、水草好きなメダカとの共存が“癒し効果”や自然環境保護に貢献できるものと期待している。

(農学部助教授 田淵俊人)
「全人」2005年4月号(No.681)より

ニホンメダカ(日本目高)

春のめだかすくい

学名:Oryzias latipes
北海道南部からの日本列島、朝鮮半島、台湾、中国に分布。学名はイネの学名「Oryza sativa L.」に由来。水田は、稚魚の餌となる微小生物が豊富、浅くて流れがゆるやか、日当たりが良い、などの理由でメダカの格好のすみかとなる。農耕民族の稲作文化との結びつきがうかがえる。全長は3~4cm。