No.38 キアシナガバチ

ガの幼虫をハンティング

玉川の丘には1,000種を超える昆虫類が確認されている。その中でもアシナガバチ(足長蜂)は文字通りファッションモデルのようにスマートないでたちである。英名の“Paper wasp”は、その巣が木材の繊維とだ液を混ぜて薄く伸ばして作られた紙質であることに由来している。意外と知られていないが、実は木材パルプから紙を作る製紙技術の発明は、ハチの巣作りを観察した科学者によってなされた。

1匹で巣作りを
開始した女王蜂

学園内には、6種のアシナガバチの仲間が生息している。その中でもひときわ大型で鮮やかなレモン色と黒の縞模様をもつキアシナガバチは旺盛な食欲で、木々の葉を食い荒らすガやチョウの幼虫の大発生を抑えてくれる、さしずめ「緑のパトロール隊」といった頼もしい一面もある。

もちろん、彼らは巣の中で育つ多数の幼虫や蛹を守るために、刺針を使った防衛手段をもっているので用心しなければならない。特に、巣が大きく発達し次世代の女王蜂や雄蜂の養育が始まる秋口には大変敏感になり、うかつに近づいてちょっと刺激を与えただけでも飛びついてくるので誤解を与えないように注意が必要である。

(農学部教授 小野正人)
「全人」2005年6月号(No.683)より

キアシナガバチ

秋になり大家族に発展した巣

学名:Polistes rothneyi iwatai van der Vecht
ハチ目スズメバチ科アシナガバチ属
日本全国に分布。体のサイズ、巣の大きさともに日本産アシナガバチとしては最大級。マルハナバチやスズメバチと同様、春に越冬から目覚めた女王蜂が営巣を開始、夏から秋に大家族に発展、冬に解散という1年周期の生活史を送る。
体長:女王蜂27mm 働き蜂20~25mm 雄蜂23~26mm