No.46 エゾシカ

6頭の雌ジカを従えたハーレムの雄ジカ

エゾシカは通常、母系集団でオスとメスは一緒に行動しない。しかし10月から11月の発情期には、強いオスが数頭のメスを囲い込み、ハーレムを形成する。この間オスは囲い込んだメスを守り、他のオスを近付けない。

角はオス同士の優劣を決める道具であり、強さを示すシンボルでもある。この頃、夏毛から冬毛に生え変わるが、ただ毛足が長く太くなるだけではなく、芯は中空(ストロー状)となる。厳冬を生き抜くための適応と言えるだろう。

広い牧草地を駆けまわる
雌ジカたち

アイヌ語で「ユク」(獲物)と呼ばれるエゾシカは、明治時代の乱獲と2度の大雪により絶滅寸前まで激減した。その後の保護政策により個体数は回復したが、近年は増加し過ぎ、数十億円に上る農林業被害や交通事故が問題となっている。現在では一般に防鹿フェンスを農地の周りに張り、鹿害を防いでいる。

しかし北海道弟子屈(てしかが)町にある寒冷地環境生物生産研究施設では、放牧地の一部を防鹿フェンスは張らず、エゾシカのために開放している。今後、エゾシカを含めた野生動物を身近に観察できるようにするためである。

(本文:農学部技術指導員 金井秀明/写真:農学部教授 佐々木正己)
「全人」2006年2月号(No.691)より

エゾシカ(蝦夷鹿)

お尻の白い目印が
目立つ雌ジカ

英名:Sika deer
学名:Cervus nippon yesoensis
偶蹄目シカ科
体重:オス90~140kg、メス70~100kg
頭胴長:オス90~190cm、メス90~150cm
日本全土に分布するニホンジカの亜種で、体躯は最大のシカ。北海道内に広く分布する。普段森林に生息し、周辺の草原や牧草地にも出没する。角はオスだけでメスにはない。毎年4月から5月に角は根元から抜け落ち、新たに生え変わる。夏毛は茶色に白い斑紋、冬毛は灰褐色で斑紋はない。