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玉川豆知識 No.67

玉川大学出版部刊行の百科辞典は「事典」ではなく「辞典」

日本で出版されている百科辞典の多くは、「辞典」ではなく「事典」という文字が使われていますが、玉川大学出版部刊行の百科辞典は、「事典」ではなく、「ことばてん」である「辞典」を使用しています。

1.玉川大学出版部刊行の百科辞典について

1932(昭和7)年、玉川大学出版部は、日本初の児童向け百科辞典『児童百科大辞典』(全30巻)を刊行しました。従来の百科辞典とちがい、ことばが50音順ではなく分野別に整理された“大項目式”という方法がとられました。その後これをさらに発展させ、1958(昭和33)年に『玉川百科大辞典』(全31巻)を刊行し、子供が知りたいことを学びやすいようにと考案された点が高く評価され、毎日出版文化賞特別賞を受賞しました。さらに、1951(昭和26)年に刊行した『玉川こども百科』(全100巻)の“幼稚園から小学校低学年向きの百科辞典”という発想が、世界でも類例のないものとして注目を集め、『春の植物』・『夏の植物』・『秋・冬の植物』の3巻が、産経児童出版文化賞を受賞しました。また1979(昭和54)年に刊行した『玉川こども・きょういく百科』(全31巻)は、子供が初めて出会う百科辞典、探究心を育て、こころを豊かにする本と評され、産経児童出版の推薦図書にも選ばれました。

(『玉川学園・玉川大学の教育活動』玉川学園/2008年より引用)

『児童百科大辞典』 『玉川百科大辞典』
『玉川こども百科』
『玉川こども・きょういく百科』
『玉川こども百科』

2.「事典」ではなく「辞典」

日本で出版されている百科辞典の多くは、「辞典」ではなく「事典」という文字を使っています。『世界大百科事典』(平凡社)や『大日本百科事典』(小学館)、『ブリタニカ国際大百科事典』がその例です。しかし、玉川大学出版部刊行の百科辞典は、『玉川児童百科大辞典』のように、「事典」ではなく「辞典」という文字を使っています。それは何故でしょうか。

『玉川児童百科大辞典』

「事典」は、事柄を解説したもので、「ことてん」とも呼ばれています。一方、「辞典」は、ことばの意味・発音・表記・語源・文法などを解説したもので、「ことばてん」とも呼ばれています。「辞典」の「辞」には「ことば」という意味があるのです。しかし、実際には、「事典」と「辞典」の使い分けは厳密には行われていませんでした。

実はかつては「百科辞典」と表記されているものも多くありました。しかし、平凡社の『世界大百科事典』が1931(昭和6)年に刊行されてからは「百科事典」の表記が定着したようです。

『玉川児童百科大辞典』

玉川学園創立者小原國芳は、我々がつくる百科辞典は、「事典」ではなく、「ことばてん」である「辞典」でなければならないと常々話されていました。そして、実際に玉川大学出版部刊行の百科辞典は、「事典」ではなく、古くから伝統のある「辞典」になっています。

『児童百科大辞典』

【参考】『児童百科大辞典』の誕生

日本で初めて児童用の百科辞典として誕生したのが『児童百科大辞典』。その誕生について『女性日本』第1号に、小原國芳のつぎのような記述が載っています。

斷片的な項目の寄木細工ではなくて、終始一貫せる大圖書館でございます。
子供たちにとりては無限の知識の庫であり、趣味溢るゝ自學自習書です。
お母さん方には子供の貧る如き質問に應ずる鍵であり、且つお互の再敎育書であります。家庭にとりては、全くステキナ装飾でもあります。幼児などもその挿繪によりて偉大なる自己敎育が出來ると思ひます。先生方にとりては、最上の各科敎授資料大集成です。どんな參考書よりも約二倍の分量を有して居ります。いはんや豊富にして鮮明なる挿繪は斷然スバラシイものです。全く空前の大敎授書です。

また、『敎育日本』第84号に、國芳の言葉がつぎのように記されています。

澤柳先生、小西先生が歐州大戰後の視察から歸り、アメリカ、イギリスの兒童百科大辭典を御土産に下さつて、『自學自律の敎育には絶對に兒童のための百科全書が生れねばならぬ。お前ひとつやつて見ないか。軍艦も師團も必要だが、兒童百科大辭典がないやうでは一等國とはいへない。』とおつしやつて下さつた――それに感激したのであります。その感激と意地とで、是非この無鐵砲を逹成して見たいと考へたのでした。

参考文献

『玉川学園・玉川大学の教育活動』 玉川学園 2008年
小原國芳監修『玉川児童百科大辞典活用の手引』 玉川大学出版部、誠文堂新光社
小原國芳監修『女性日本』第1号 玉川学園出版部 1932年
小原國芳監修『敎育日本』第84号 玉川学園出版部 1938年
白柳弘幸著『故きを温ねて』 (小原芳明監修『ZENJIN』No.677 玉川大学出版部 2004年 に所収)

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