それでは、具体的にどのような美術学習を行うと自分の意見が持てるようになるのでしょうか。増田教諭はこう語ります。「これまでの美術というものは、先生がお手本を示し、それを目標に子供たちが絵を描いたり、形を造ったりする“受け身の学習”が一般的でした。しかし、そこには自分で考えたり調べたりする余地がありません。これは美術だけでなく他の教科でも同じで、先生に教えられたことを知識として覚えることに終始してしまっているのです。もちろん知識を得ることは必要ですが、それだけでは自分の意見を持つことはできません」。
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| バイオ・アート |
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| パノラマボックス |
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そこで、玉川学園の美術では、先生がお手本を示す型から、子供たちに考えながら表現してもらう“探求型学習”を重要視しているという。「例えば、8年生の授業では『バイオ・アート』という顕微鏡を使ったスケッチを行っています。トウモロコシ・紅羊歯(ベニシダ)・タマネギ・椿・松など、さまざまな植物の細胞組織を顕微鏡で観察し、そのスケッチを組み合わせて自由な色彩で表現してもらうのです。これは、何をどう描けば正解というものではなく、顕微鏡を通して見た新しい世界を自分はどう捉え、どう表現するのかを考えてもらうことが狙いです。また、動植物を立体的に配した『パノラマボックス』という制作物もあります。これは、地球にはどういう動植物がいるのか、それらがどんな関係にあるのか、どんな生物が絶滅してしまったのかなどを自分で調べてもらい、それを表現することで地球環境について考えさせることが狙いです。同じく環境を考える取り組みとして、10年生のIBクラスの授業では、冬の間樹木に色とりどりの編み物を着せて保護するというものもあります」。
「上手に描いたり造形したりするのを重要視するのではなく、調べたり考えたりする能動的な学習で、しっかりと自分の意見を持てるように促すことが、玉川学園の美術の特徴にしたいと考えています。ですから、評価の対象も作品そのものではありません。生徒は自分の作品の制作意図や制作手順、制作のポイントなどを写真やイラストと文章でまとめた『ワークブック』や『ポートフォリオ』というものを作り、これを評価の対象とします。つまり、結果ではなくそのプロセスを重要視しているのです。こうした取り組みから、自分で考える力や意見をまとめて相手に伝える力が培われていきます」。
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