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「大学教育棟 2014」で学ぶ

学生の主体的学修を促進する

教学部長 菊池重雄

大学教育のあり方はこの10年で抜本的に変化しました。これまでは、できる限りの知識を教授し、それを卒業後に社会で応用してもらうというものでした。しかし、知識によってはすぐに最新のものではなくなり、社会に出てからも知識を更新する必要がありました。また、社会構造も大きく変化を遂げています。玉川大学には農学部や工学部といった第一次産業や第二次産業に貢献する学部がありますが、その卒業生が、学んだことと直結した職に就かないケースも出てきています。専門的な知識・技術を備えただけではなく、ジェネリックスキルといわれる汎用的な能力を備えた人材の育成を、社会が大学に求めています。どんな科目を何単位取得したかよりも、どんなコンピテンシー(能力)を身につけたかが問われています。そうした能力を身につけるこれからの学修システムの象徴的な建物となるのが「大学教育棟 2014」です。その大きなテーマは、他者ともに成長する“協同学修の場の創成”です。

ところで、最近、カフェやオープンエリアで勉強している学生を多く見るようになったと思いませんか?家庭の中でも、リビングやダイニングで宿題や予復習をする小学生が増えていると言われています。かつて勉強はひとり静かに行うものと思われていましたが、他者や外部とのかかわりをもちながら勉強するスタイルへと変わりつつあるようです。この建物の1階から4階の一部を占める図書館には、個人で学修するスペースを残す一方で、他者とのかかわりを意識しながら学修できるエリアを設けています。それがアクティブ・ラーニングのエリアです。学生には、授業をとおして自分と社会はどうかかわっているのか、学んでいることが社会でどう活かせるのかを明らかにするように求めています。学長の言葉に「人生の開拓者をめざす人に」とありますが、自分だけが成功することをめざすのではなく、自分の成功によって他の人を生きやすくする。それがアクティブ・ラーニングで行われる協同学修のミッションです。

3階:アクティブ・ラーニング・エリア(完成イメージ)
アクティブ・ラーニング・エリア(完成イメージ)
アクティブ・ラーニング・エリア(完成イメージ)

アクティブ・ラーニングの導入により、授業そのものも大きく変わりつつあります。いまでも100分すべての時間を使って講義を行うことはありますが、講義の時間を短くし、そのぶん学生が主体的にかかわる時間を増やしている教員も数多くいます。現在では、学生が教室外での自学自習で得た知識をベースにペアワークを行い、さらに、グループワークというかたちで、人数を増やし、ディスカッションを重ね、最終的には全員の前で発表するという授業が増えてきました。当然、ディスカッションのベースとなる知識を得る場所となる図書館の役割も大きくなります。特定の分野に長けた専門員(サブジェクトライブラリアン)が学修・研究をサポートする。しかも、図書館の蔵書130万冊の中からいかに効率よく目的とする書籍を見つけ出すか、検索でヒットした書籍や資料をどう活かすかといった具体的な学修支援をしていくことが図書館員には求められます。

3階:グループ学修室(完成イメージ)
3階:グループ学修室(完成イメージ)
3階:グループ学修室(完成イメージ)

学生も教職員もともに考え、ともに学ぶ

情報収集をどのように行うかを学生に聴いたところ、「インターネットで調べる」という解答がトップでした。図書館もそうした利用に対応したものでなければなりません。インターネットで得られる情報は、すべてが真実であるという保証はなく、情報の正誤を見きわめられる力や基本的な知識が求められます。さらに、人の言葉を介せば情報はフラットなものではなくなります。新聞やテレビの報道しかりです。“その報道の論調や思想をふまえて理解する”という受け取り方が必要です。また、近年インターネットが急速に進展したように、もっと便利な検索方法がやがてスタンダードになる可能性もあります。そうした時代の変化・進化に対応できる図書館でなければなりません。各階にインターネット環境が整備されていることは当然として、夜遅い時間までの稼働なども必要になります。さらに、教職員が新しい学修スタイルにどれだけなじめるかも重要です。ともすれば、過去の経験から学生の行動をパターン化してしまうことや、自分たちの経験に基づいたアドバイスをしてしまうことはありがちなことです。学生と一緒になってこれからの学修スタイルをつくりださないといけないのかもしれません。例えば、幼稚園や保育園は指示をするだけでなく一緒に動いてくれる先生がいますよね。図書館もそうしたエッセンスが必要だと思います。

だからといって、学生も「何かあるかな」といった感じで立ち寄っても、図書館のもつ機能や有効性を生かすことにはなりません。目的をもって、そこにあるものをどう使うかを明らかにしていかなければ使いこなすことは難しいと思います。私たち教職員ができるのは、社会の課題を幅広く受けとめ、解決策を見出す人財を育成することです。社会を変えられる可能性を秘めた学生たちを信じ、サポートしていくことです。そのための施設が「大学教育棟 2014」であり、その中にある図書館です。「大学教育棟 2014」は、世間の人たちがもつ「玉川のイメージ」に合致する建物となるでしょう。同時に、学生自身が母校に誇りをもてる建物にもなるはずです。それが必ずや良い作用をしてくれるものと信じています。

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