『全人』2021年5月号 No.860より
2021年5月号 No.860
全人教育とは1921(大正10)年8月に開かれた「八大教育主張講演会」で、当時成城小学校の主事をつとめていた小原國芳が初めて提唱した教育理念です。全人教育の理想を実現する「ゆめの学校」として玉川学園は1929年に創立されました。提唱100年を迎える全人教育の誕生から発展をたどりつつ、教育研究活動の第一線にいる教員のインタビューも収録しています。5月号より2本の新連載が始まりました。まず「研究室訪問」の1回目は、リベラルアーツ学部の田中素子准教授。「脳科学相談室」の1回目は脳科学研究所長の坂上雅道教授が登場。子どもや保護者からの疑問や悩みに、脳科学研究の知見に基づいて回答します。
表紙写真=岩崎美里
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「虚偽や非正」を「ジット見て居られない」――これは1921年8月8日、30代半ばの小原國芳が、日本で初めて全人教育を提唱した八大教育主張講演会での言葉です。聴衆を魅了する舌鋒は鋭く、入学試験のための詰め込み教育や売名目的の運動ばかりの教育――それは現代でも見られますが――など、特定の主義(イズム)に偏った教育を「ウソの教育」、「殺人教育」と批判し、中庸を行く「真実の教育」を要求しました。その闘争の旗印が全人教育だったのです。
國芳が求めたのは、この世界にただ一回のみ出現した一人一人を大切に扱い、それぞれに必要なすべてを包摂する教育でした。心身からなる「人」には、心育(真育・善育・美育・聖育)と身育の両方が不可欠です。さらに生きていくためには「実際の教育」も欠かせません。これらを盛り込み「綜合的人格」の涵養をめざす全人教育によって、「人らしい人」を育てることが、彼の理想でした。「創立者が描いた教育の理想とその意義」佐久間裕之 p4
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ゼミで学ぶには、マンガやアニメに対する興味は大切ですが、それだけでは学術研究になりません。物語の構造を捉える方法を学んだり、映画のカメラワークの理論を敷衍(ふえん)して、コマごとの意味合いを考えたりするほか、ファンカルチャー、著作権、作品流通の仕組みといった産業構造の知識も身につけます。3年次の秋学期には卒業論文のテーマを絞り込みます。テーマは自由で「コメディ漫画からバトル漫画への路線変更に伴う作中表現の変化」「アニメにおける色とキャラクターの特徴の関連性」など多彩です。卒論指導は、私も知らない分野や視点を教わる機会になっていて刺激的です。
研究室訪問 1
リベラルアーツ学部 田中素子准教授 p26
目次
- [特集]全人教育100年
「全人教育」の誕生と広がり
教育学部・全人教育研究センター 佐久間裕之
創立者が語る「新しく學園の生れましたわけ」
教員インタビュー「わたしと全人教育」
教育学部・全人教育研究センター 小原一仁
教育学部・国際教育センター 大谷千恵/芸術学部 菊地芳子
脳科学研究所 松田哲也/幼稚部 佐々木 梢
1〜5年 廻谷美和/6〜12年 髙津健一
6〜12年 川﨑以久哉
故きを温ねて 89 「全人教育の原点」…白柳弘幸 - 第92回創立記念日 全学教職員の集い 理事長挨拶抄録
新年度にあたって…小原芳明 - K-12新体制について
- TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- RESEARCH REPORT 芸術学部 太宰久夫教授千穐楽
- EDUCATION REPORT 玉川学園展(6〜8年)
- 研究室訪問 1 リベラルアーツ学部 田中素子
- 生涯学べ 69 有山裕美子 軽井沢風越学園教諭
- 脳科学相談室 1 「心」はどこにあるのですか? …坂上雅道
- Teaching @Tamagawa 19
Say Hello! to the world …Blagoja Dimoski - キャリアナビゲーション’21
福島県 県中農林事務所田村農業普及所 安田康二さん+就活Q&A - Book Review 190 『じぶんだけの いろ』…玉田真夕
- 教育博物館館蔵資料紹介 342
「L.v.ベートーヴェン作曲《7つのバガテル》Op.33」…栗林あかね - 玉川の仲間たち「ナタネ」…肥塚信也