学校法人 玉川学園 Puente 2013.06 vol.03
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14│Puenteたまがわ時代を拓く研究活動Part3小学生も参加可能な世界規模の大会 ロボカップは1992年、世界のロボットと人工知能の研究者が集まり、社会に役立つロボット技術の育成を目標に始まりました。「2050年までに、人間のサッカー世界チャンピオンチームに勝つロボットチームをつくる」ことが目標。そのために第1回大会から「ロボカップサッカー」を実施。その後、災害時の人命救助を見据えた「ロボカップレスキュー」、家庭内でのロボット活用に取り組む「ロボカップ@ホーム」も始まりました。 ロボカップの特長はまず、開発するロボットにあります。「ロボット工学と人工知能の融合をめざしているため、開発するのはリモコン型ではなく、自分で考えて動く自律型ロボットです」と紹介してくれたのは、TRCP(玉川ロボットチャレンジプロジェクト)の代表で今大会の開催委員会の副会長を務めた大森隆司教授。さらに、小学生から研究者まで参加でき、高専生までが対象のジュニア大会ではロボットづくりを通じた教育、大学生以上が参加するシニア大会では技術力の向上がテーマになっている点も特長です。 「そのため、全チームが開発ロボットの特徴をプレゼンテーションし、その内容も評価。さらにジュニア大会では挨拶など礼儀やマナーの遵守もルールに盛り込まれています」と大森教授は語ってくれました。ロボカップロボカップジャパンオープン2013東京 開催委員会副会長大森隆司 教授(工学研究科長)ロボカップジャパンオープン2013東京 開催委員会委員岡田浩之 教授(工学部機械情報システム学科)ロボカップジャパンオープン2013東京 学内運営委員会副委員長田原剛二郎 教諭(5‐8年生)・サイエンスクラブ顧問玉川大学におけるロボット研究の成果を玉川学園の教育現場へ展開し、高い教育効果の実現をめざして実践しているTRCP(玉川ロボットチャレンジプロジェクト)。その一環として2013年5月4日~6日の3日間、「ロボカップジャパンオープン2013東京」(主催:学校法人 玉川学園・NPO法人ロボカップ日本委員会)を、この玉川のキャンパスで開催しました。日本のロボット教育を牽引 玉川とロボカップの関わりは、2006年にシニアチームの『eR@sers』がサッカー競技に参加したのが始まりです。「いきなり世界大会まで駒を進め、注目されました」。そう語るのは当時から研究・指導している岡田浩之教授です。岡田教授は今大会の開催委員会の委員も務めています。 2008年からは@ホームに参加し、2008蘇州大会と2010シンガポール大会で優勝。2009オーストリア大会と2012メキシコ大会では準優勝に輝きました。ジュニアチームは2007年からレスキューチャレンジに参加し、常に上位に入賞。こうして玉川は国内外でロボット教育を牽引する学園として認識されるようになりました。そして今回、ロボカップ日本委員会と合同で今大会を主催することになったのです。 「ジュニアではロボットづくりを教育の一環として捉え、できるだけ部品を自作させています」と語るのは、ジュニアチーム指導と同時に今大会の学内運営委員会の副委員長(ジュニア担当)も務めた田原剛二郎教諭。苦労しながらロボットをゼロから作ることで理解も深まり、好奇心も高まります。大学教授や大学生がアドバイスに訪れてくれることも成長につながっているのでしょう。ジュニアチームの取り組みを知る大森教授は、「自主的に考え、分かった瞬間に見せる子供たちの表情が、なんとも素晴らしい。そうした体験を重ねることで、年々能力を高めている姿を見ると、本当に嬉しくなります」。

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