学校法人 玉川学園 Puente 2013.06 vol.03
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28│Puenteたまがわ東京の台所“築地”の我ら玉川っ子Part2東京都中央区築地にある公設の卸売市場、築地市場。昭和10(1935)年の開設以来、東京の食生活を支えて80年以上の歴史がある日本を代表する市場です。築地市場といえば「魚」。活きの良い魚を取り扱う仕事をしている卒業生がここにもいます。今回は築地場内3軒と場外1軒のお店を訪ねました。朝の早いお仕事。その仕事を終えられてからの方がよいかと午後に連絡すること数回。思い切って午前中に電話をかけたところ、あっさりと連絡がついてこちらがびっくりでした。 午前9時、市場に到着するとターレッと、呼ばれる荷を運ぶ台車や、バイクが縦横無尽に走る場内は大小合わせて約800件ほどのお店が扇場に配列されています。その中でも大きな位置を占めてマグロを専門に扱う卸売業の㈱「樋長」飯田統一郎(高等87)さんから訪ねました。 文久元 (1861)年日本橋に「神崎屋」と名乗り魚商を創業し、 後に問屋兼仲買商「樋長」を名乗り御用商人として営業を始めたという歴史があります。飯田さんは平成21 (2009)年に代表取締役社長に就任されました。 「世界中のマグロを扱っています」とおっしゃる飯田さん。注文が入るとケースの中から大きな切り身のマグロをはずみをつけて取り出し、お店の方と2人がかりで注文の大きさに切り分ける姿は真剣そのものです。お話を伺っている間にも、外資系ホテルのシェフが見え、英語で応対。高校時代に将来は輸入物が入ると考え、卒業するとオーストラリア・メルボルンの州立のカレッジに4年間通ったそうです。学生時代は苦手だった英語も、今では外資系ホテルのシェフたちとコミニュケーションをとることができ、ホテル内のすし店のオープンの立ち上げまで面倒を見られたとのこと。ご商売の発展に繋がっているようです。 「季節や産地の違いによってマグロの味も違うので、それを伝えていきたい。やるからには日本の文化を守っていきたいと考えています。」と話してくださいました。次にお訪ねしたのは、場外にある昆布商㈱「吹田商店」の吹田勝良(理財88)さん。もともとは大阪で昆布問屋として成功を収めていたそうですが、関東大震災後に、東京を立て直そうと食文化の中心地、大阪から東京に。若布やひじきなどの海藻類を扱う問屋さんはあっても、昆布を専門とする数少ない問屋さんの一つです。「産地によって出汁用と煮物にむく昆布がありますので、お店の人と会話をしてほしいですね」と吹田さん。現代は情報が氾濫して惑わされているように思うとのこと。 学生時代は自動車工学研究部に所属し、卒業後は車のレースのプロモーターの会社に勤務されていました。「バブル時代とバブル崩壊を見て思ったのは、最後には真摯に仕事をしていた人が残るということです。自分の持っている得意なことを大切にし、真面目に取り組む人が生き残れると実感しました。商売を大きくするとかではなく、自分ができることに専念して守っていきたいです。」と経験を語ってくださいました。 お店には玉川同士で結婚されたお姉様の石田秀樹(農化85)・(吹田)真理(農化85)ご夫妻もいらして、「ぜひ、築地にきてください。お料理に合う昆布を選びます。」と笑顔で話してくださいました。▲石田 秀樹さん真理さんご夫妻と吹田さん

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