学校法人 玉川学園 Puente 2014.06 vol.04
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28│Puenteたまがわコンサルティング業界の我ら玉川っ子Part2企業などのクライアントに対して、客観的に問題点を指摘、原因を分析して対策案を示して企業の発展を助ける業務を行うコンサルティング。この業界に多くの卒業生が活躍されています。全国を飛び回られている中、学友会事務局にお集まりいただきました。野渡 本日は主として在学生のためにコンサルタント業の紹介をしたく、お集まりいただきました。元経営工学科主任教授の並木高矣先生がコンサルティング業界に造詣が深く、そのご縁でコンサルティング業界に在職されている卒業生も多くいらっしゃいます。最初に、この業界に入られた経緯をお聞かせください。太田 在学時に、このような職業があることは知っていましたが、よもやコンサルタントになるとは思っていませんでした。卒業後、西友ストアーに入社しました。当時、東洋一の物流センターを建設しており、センター内のオペレーションシステムを開発しましたが、そのシステムが安定稼働に移行すると仕事は定常業務が主体となり、チャレンジフルな仕事がなくなりストレスを感じていました。その頃、文化シャッターの取締役だった父から、日本能率協会のコンサルティング事業部を紹介され、コンサルタントになりました。平松 高校時代に経営コンサルタントという仕事があることを聞いていました。大学選定時に、玉川大学にこの分野で著名な並木先生が在職していらっしゃることを知り入学しました。就職時にも並木先生から「いきなりコンサルタント会社に入らない方がいいよ」と言われて民間企業に就職し、中小企業診断士の資格取得後、民間コンサルタント会社に移りました。牟田 私の会社は、創業50年になります。当時、この業界で有名な田中要人先生から「経営者を助けるためのセミナー講座を開設したらどうか」というアドバイスを受けて、私の父である牟田學が創業しました。玉川大学の卒業生は二代目経営者が多いですが、私自身も二代目ですのでクライアントの二代目経営者からの事業継承や家族問題の相談を受けることが多いです。太田 私が入学した当時の経営工学科はIE(lndustrial Engineering)が主でした。IEは改善の基本技術です。つまり、「測定なくして管理なし」です。現状分析により問題を明らかにし、改善対象の効果性や緊急性、戦略性などより広い視野から問題を捉え、改善策を立案・実施・定着させ成果を取得することです。この基本を並木先生に教えていただきながら実践を通じて身に付けました。また、私は合唱団活動で学校行事に参加させていただいた関係から、オヤジ(故小原國芳先生)の話を聞く機会が多く、身を持ってオヤジの素晴らしさと学園の本質的な部分に触れたと思います。「真善美聖健富」そのものです。受け継いだ玉川教育の理念やDNAは、私の骨子になっています。平松 そうですね、毎週礼拝があったのも良かったのではと思います。IEのほうでは、必修科目の工場実習では本を読んで自分たちで実際にやってみることが勉強になりました。なかなか本の通りにはいきません。それを武岡一成先生に質問するともっと難しい宿題を出されましてね(笑)。IEは奥が深く、それが知らないうちに身に付き、テクニックを選択するときの心構えも鍛えられたと思います。牟田 在学中は学業成績でその人物像が評価されるわけですが、社会では別の基準が働くように思います。好き嫌いという一つの情が価値基準となります。商品を買っていただくには感性を磨くことが大切です。これは全人教育がベースになっています。野渡 玉川教育で思い出すのは「文系は理系の発想をもちなさい。理系は文学に強くなりなさい」というオヤジの言葉です。広い人間観やものの見方が大切だと教えられました。そのような意味からもリベラルアーツの重要性を再確認しています。産業界も二次産業からサービス産業へと大きくシフトしました。コンサルティング業界の現状はいかがでしょうか?太田 40年前はモノづくりの全盛期でした。先輩から伝承された技術を学びつつ自分で考えてまとめました。机上で理解しつつ、実践を通して検証するという学び方をしないとスキルは向上しません。現在は、ITと改善技術で現状業務を競合優位の業務システムに変えて欲しいという要請が非常に強いです。ここで問題となるのは、従来のコンサルタントは業務改善能力を持っていますが、ITリテラシーが弱かったと言えます。これは非常に大きい課題となっています。また、 数多くの中堅・中小企業も海外進出しています。ここでは、物づくりを最も効率的な仕組みにしていくネットワーク構築の要望が多いです。海外現地企業と

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