学校法人 玉川学園 Puente 2014.06 vol.04
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04│Puenteたまがわ的川泰宣渡邊博之宇宙航空研究開発機構 名誉教授玉川大学 農学部 生命化学科 教授宇宙から学んだ「挑戦する心」と「人を育てること」渡邉 玉川大学の「Future Sci Tech Lab」と「LED農園」をご見学いただきましたが、いかがでしたか。的川 国内初のLED農園をこの目で見て、日本の農業に革命が起こると予感させる新しいシステムに驚きました。しかも、研究のきっかけがケネディ宇宙センターを訪問されて、植物栽培にLEDを使用する研究を目の当たりにされたことだったのですね。渡邉 はい。実際に現場を見たことで、LEDを光源にした野菜栽培が実用化ができれば日本の農業を大きく変えられるのではと直感して研究を始めました。日本の農業は産業の中でも重要なファクターであるにもかかわらず、ないがしろにされてきました。今やTPPをはじめとする問題によって変革が迫られている状況で、外交や農政といった政治レベルで変革できるものではないでしょう。国土の狭い日本で未来の農業が目指すのは従来型ではなく、新しい技術を採用した「新しい農業」ではないかと考えています。変革の一つのきっかけとして、玉川大学のLED農園の成功例を示し、新しい農業の形を提案したいのです。もう一つ、農業をビジネスとする企業は少なく、農学部を卒業しても仕事でその知識を活かせる人はわずかです。植物工場などの新しい農業への企業の参入が進めば、大学で身に付けた知識や技術を社会に還元できる、そのようなよい循環にもつなげたいのです。的川 玉川大学が新しい農業システムの研究を育てようとされているその精神は、大変立派だと思います。また渡邊先生も狭い面積で縦型に栽培地を増やしていくという発想で実現までたどり着けたのだから、すばらしい。渡邉 玉川大学に着任する以前の企業で、人手をかけない自動化の野菜栽培を発想の原点にした現在の植物工場の原型を作ったのですが、見事に失敗しています。植物工場に関わる研究者の中で、絶対間違いないのが、失敗の数では負けないということですね(笑)。何とかこの技術を世の中のために使いたいという思いだけはありながら、大学で対談「宇宙教育の父」と称される宇宙航空研究開発機構(JAXA)的川泰宣名誉教授が、玉川大学「Future Sci Tech Lab」内の「植物工場研究施設・宇宙農場ラボ」と「LED農園」を訪問されました。玉川学園の歴史をさかのぼると、日本の宇宙開発に関わる深いつながりがあります。1945年、日本の宇宙開発・ロケット開発の父・故糸川英夫博士率いる糸川研究所が、疎開のために玉川学園内に移転したのです。博士は研究助手として生徒の参与を希望するなど、「科学する玉川」の礎を築いてくださったご縁があります。その糸川博士の最後の弟子と言われる的川名誉教授と、農学部生命化学科渡邉博之教授が宇宙研究や教育などについて、熱く語り合いました。研究は失敗の繰り返し失敗から何を学ぶか

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