ZENJIN 2019 特別号
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12│全人特別号 TAPセンターは、玉川大学・玉川学園の教育の理念「全人教育」を体験学習プログラムとして学ぶため、2000年に総合学園では日本初のアドベンチャー教育施設として設置されました。自然環境の中でさまざまな野外活動を通して、自らの殻を打ち破り、他者との相互理解やリーダーシップ、チームビルディングを学ぶことを目的に、幼稚部から大学までの「K-16一貫教育」の一つとしてスタートしました。現在では、プロスポーツチームや企業などの学外団体にもコミュニケーションやチームワークの形を具体的に体験する研修プログラムを提供しています。 母校訪問は、2018年12月18日のよく晴れた日。卒業後もパフォーミング・アーツ学科のOBとして、同学科の和太鼓や舞踊の公演をOBの友人たちと観るために来校したそうですが、「それから5年くらい経つかな」という篠山さんは、経営学部、芸術学部の学生が学ぶ校舎の辺りを見回し、「変わらない眺め、懐かしいなぁ」と感慨深げです。 低学年校舎と幼稚部に隣接する経塚山に、従来の「ハイチャレンジコース」と新設の「チームチャレンジコース」がそびえ立っています。篠山さんは、上段8メートル、中段5メートルの新コースを見上げて、「在学中にTAPのコースが出来たという話を聞いていましたが、まさか、卒業後に体験することになろうとは思わなかったですね」と笑顔。 新コースは、1グループ最大8名でチャレンジできるのが特徴です。篠山さんは、「自分の身体能力だけでなく、相手と呼吸を合わせないと、越えられないんですね」と言いつつ中段まで登り、ワイヤーで繋がれた丸太が並ぶコースを見て、「こんな不安定な所を渡るの」と心細げです。 「各自が装具で安全を確保しつつ、他のメンバーと助け合いながら行動するので、大丈夫」とTAPセンターの川本和孝准教授が力強く声をかけ、篠山さんも踏み出す勇気が湧いたようです。スタート前、チーム全体のファシリテーターとして村井伸二准教授が先に移動し、チャレンジする皆を見守っています。 篠山さん、川本准教授、永井由美指導員、当時大学4年生の小林大空さん(教育学部教育学科)、松下佑里花さん(文学部英語教育学科)の5人が一斉に一歩を踏み出すと、「うわっ! 落ちるよ!」と篠山さんの悲鳴に近い声が。すかさず、「隣の人と肩を組んで支え合ってみてはどうでしょうか」と村井准教授がフォローしました。 TAPでは、チャレンジレベルを自らの意志で選択して行動に移す「体験から学ぶ」ことを実践する「玉川アドベンチャープログラム」高所でのチャレンジが、潜在能力を開花させ、他者との相互理解を育む「文藝春秋」2019年3月号に掲載された、俳優・篠山輝信さん(芸術学部'06卒)の母校訪問と、「玉川アドベンチャープログラム(TAP)」の体験レポート。誌面で掲載されなかった内容を盛り込んだ加筆・再録から、TAP体験の様子、篠山さんの母校への想いに迫ります。世界が求める「全人教育」を具現化した、体験学習プログラム「TAP」。チャレンジする体験を通し、自己の枠組みを越え、他者を尊重して、協働の本質を学ぶ。篠山さん母校訪問玉川大学⬆新設されたチームチャレンジコースの全景

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