全人特別号2023
11/16

 「守り、継承する聖山」をコンセプトに児童・生徒・学生・教職員、さらには卒業生も参加して2019年度より行われているのが聖山労作です。手入れが行われていない雑木林を間引きすることで、残した樹木の発育を促してより豊かな自然環境を作ることが目的。伐採された樹木はさまざまな形で活用されます。またバイオチャーとして散布していきます。 地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減する観点で、炭素隔離効果が期待されるバイオチャーに着目した研究活動を進めている友常先生。森林をはじめ農地や植木鉢にもバイオチャーを散布し、二酸化炭素の吸収・貯留量を測定・調査。聖山労作での散布も社会実装の一環です。Secondary Program Divisionの瀬底正宣教諭と美術部ラボ班の生徒たちが、低温乾燥させた学内間伐材を利用し、直径90cmの壁掛け時計を製作。教育連携を図るFC町田セルビアに贈呈しました。(2022年9月) 木材や竹などの有機物を炭化したもののこと。バイオチャーを土壌に施用することで炭素貯留を行い、大気中への放出を減らすことが可能になります。また土壌の保水・通気性を改善する効果があり、土壌改良資材としても利用されています。授業で美術技術法を選択している12年生がグループワークで「木のおもちゃプロジェクト」を立案。学内間伐材を使ってスマートボールとTama Treeホッケーを製作し、幼稚部の園児たちにプレゼントしました。面取りやヤスリがけなど安全性にも配慮されています。(2022年12月) 2023年2月に行われた聖山労作では、友常先生の指導により、バイオチャーの散布も行われました。伐採の終わった雑木林に土嚢を抱えた学生たちが入り、樹木の下などに撒いていきます。樹木を炭化させたバイオチャーはCO2を1,000年以上閉じ込めることが期待されるだけでなく、樹木の活性化にもつながるのではないかと考えられています。北斗館に設置した木材低温乾燥装置。木材を45度の低温乾燥することで、木の酵素を保ち、精油成分を残すことができます。この装置で乾燥させた木材を加工し、さまざまな教育活動に活用しています。 私たちの生活の中で生じるCO2の排出量と、緑地などによるCO2の吸収量を同等にすることを目指すのが、カーボンニュートラル。それに対してマイナスカーボンは吸収量を増やすことで、大気中のCO2の量を現在よりも減らしていくという、地球環境に配慮した新しい考え方です。ZENJIN 202311伐採した木材を活用した取り組み

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る