近年、海中生物に多くの影響を与えている海水温上昇。特に海水温や紫外線量の変化に敏感なサンゴは白化現象が多く見られ、周辺生態系に大きな影響を及ぼしています。K-12ではサンゴの研究に取り組んでいます。そのきっかけとなったのは2011年に、6年生が受けた理科の授業でした。海洋環境について学ぶ中でサンゴの白化現象を知り、自分たちに何かできることはないかと自由研究でサンゴの飼育に取り組むようになったのです。以来12年、その研究は学外での研究発表や地域との教育連携を行うまでに成長しました。2022年度の活動を紹介します。 中学部・高等部のサンゴ研究部(クラブ活動)と自由研究サンゴのグループは沖縄県伊江島海の会と連携。2021年度から5年間、玉川学園内で育てた現地のサンゴを伊江島に還すなど、さまざまな活動に取り組むことになりました。生徒たちは株分けから始め、水温や水質の影響を受けやすい生育環境を維持しつつ、着実に成長させ、養殖に成功しました。この取り組みは多くの注目を集めており、テレビ朝日より密着取材も受けました。 今回の研修で、サンゴと魚が密接な関係にあることを理解できました。そして琉球大学では、生息地域による酸性化などを学ぶことができました。関係者の皆様ありがとうございました。サンゴ研究部9年生大崎 泰明さん2022年2月 サンゴの植え付け作業以外にも飼育するサンゴの採取や輸送など、多くの人が移植活動に携わっていることを今回の研修で知りました。そうした方々に感謝すると同時に、今後は自分たちで行える作業を増やしていきたいと思います。サンゴ研究部12年生乙部 結生さん 当初はコロナ禍ということもあり、育てたサンゴを伊江島に送り、現地の方に移植してもらいましたが、2022年には24名の生徒が現地を訪問し、移植に挑戦しました。また、海域における海水や土壌に溶け込んでいる環境DNAについても調査。そこで得たデータをサンゴ養殖に活かすと同時に、移植したサンゴの経過観察もしながら継続して調査を行うことで周辺海域がどのように変化していくのかについても調べていく予定です。 伊江島の空気を吸い、伊江島の人々に触れ、現地の海の様子をじっくりと観察したことによって、理解をより深めることができました。来年度以降もサンゴ飼育、現地での研修を継続していく予定です。自分たちや先輩が移植したサンゴの成長をモニタリングしていくことも、楽しみの一つになりました。2022年8月指導担当 市川 信 教諭12TAMAGAWA UNIVERSITY & ACADEMYREPORTS沖縄県伊江島と連携した長期計画の養殖プロジェクトが始動VOICES生徒たちが伊江島を訪問移植や環境DNAの調査も実施
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