『全人』2018年9月号 No.830より
2018年9月号 No.830
世界には196の国があり、多様な歴史や文化、宗教、言語、生活様式をもつ約75億人の人がくらしています。2015年、国際連合が「持続可能な開発目標(SDGs)」として、2030年までに国際社会が解決すべき17の目標を掲げました。よりよい未来に向けた活動が各国で始まる中、そうした世界情勢を背景に、玉川で取り組まれている世界の課題を学びの軸にすえた大学とK-12の授業を特集。世界の現状に接し、課題解決を模索する過程で問題意識や当事者意識を育む生徒、学生たちの声を紹介しています。「研究エッセイ」は、命の発生を学ぶ理科教材の開発に取り組む農学部の有泉高史教授が執筆。デジタルとアナログを用いた魅力ある教材開発とその実践を報告します。
表紙写真=岩崎美里
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日本と違う国で生きる人のことを考えるとき、一方からだけではなく、多くの視点をもってほしい。私もそれを考える材料になるような写真を発表していけたらと思っています。
私は幼い頃から、国際問題に興味があったわけではありません。アメリカの大学に在籍したとき、西アフリカのガンビアに行く機会があり、そこでたまたま働いた地元新聞社での経験が、フォトジャーナリストへの道を拓いてくれました。
ガンビアは、貧困、児童労働、人身売買などいろんな問題を抱えています。でも地元の記者がそれを書くと、当局から弾圧を受ける。大事な情報が埋没してしまうのです。だから、そうした国や人たちのことを伝える仕事をしたいと思ったのです。「先入観をもたずに世界をみる、考える」林 典子 p4
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現在、高校では「生物」の授業でカエルとウニの発生を学びます。カエルは私たちと同じ脊椎動物なので、発生の仕組みにはたくさんの共通点が見られます。脳や脊髄などの神経系ができる仕組み、すい臓や心臓といった器官のできる仕組みは基本的にヒトと同じです。
教科書に登場するカエルこそ、カエル合戦を繰り広げるヒキガエルです。生徒たちにはカエル合戦や、卵が形を変えてオタマジャクシになっていく様子をぜひ自分の目で観察してほしい。「命の発生」を目の当たりにすれば、きっと大きな驚きと感動があるでしょう。(略)
どうしたら生徒たちに、発生の神秘や面白さを伝えられるだろうか? カエルやイモリを相手に研究を続けながら考えた答えのひとつがデジアナ教材 です。研究エッセイ「命の発生を学ぶ理科教材の開発」有泉高史 p22
目次
- [特集]世界の課題を考える
interview 先入観をもたずに世界をみる、考える
フォトジャーナリスト 林 典子
故きを温ねて 59 「無理にも、美しい心を發心して下さい」…白柳弘幸
K-12
SGH スタディーツアー
IB Programmes
大学
文学部 World Studies
文学部 ジェンダー論
農学部 国際協力論
教育学部 地理学(ESD) - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 玉川のアクティブ・ラーニング 15
工学部情報通信工学科 森 文彦 准教授の授業 - 研究エッセイ
命の発生を学ぶ理科教材の開発…有泉高史 - 玉川玉手箱 17
イノベーションのための思考法…小酒井正和 - 今月の一労作 48
MMRC実行委員会 - 玉川発見伝 16
ふたたびミツバチ科学研究センター…モリナガ・ヨウ - Teaching @ Tamagawa 2
Contrasting IB tests…Damien Pratt - キャリアナビゲーション ’18
アチーブメント株式会社 平野晃希さん+就活Q&A - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 160 『ちいさな国で』…小川春菜
- 教育博物館館蔵資料紹介 312 「教草 藍一覽」…菅野和郎
- 玉川の仲間たち 「カドフシアリ」…宮崎智史