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キャンパス・ウォッチング

キャンパス・ウォッチング 教育ジャーナリストの立場から、学内外の教育現場の課題やあり方を自由な視点で語っていきます

2020.07.14

オンライン授業奮闘記

 当コラムのタイトルは「キャンパス・ウォッチング」だが、4月中旬からの春学期、キャンパスには学生の姿がほぼなかった(はずだ)。筆者も、必要に迫られてキャンパスに足を運んだのは数えるほどだから、「はずだ」と言うしかない。突然、降ってわいたように始まったオンライン授業だけに、教員のほとんどが未経験のまま、この4か月近く奮闘してきた(はずだ)。そのひとりとして記録を残しておきたい。

いきなりのZoomゼミ

 筆者は今年初めてゼミを持った。メンバー12人と顔合わせは済ませていたが、いきなりオンラインによるゼミである。もっとも、3月の段階でオンライン授業は想定されたため、ゼミ生とは事前にビデオ会議システムZoomでミーティングを繰り返した。学生の都合に合わせて、10回ほどはやったと思う。

五十嵐校長(右下)をゲストに迎えたZoomのゼミ五十嵐校長(右下)をゲストに迎えたZoomのゼミ
(加工してあります)

 筆者自身、Zoomの授業は「やったことがある」という程度だったから、音声確認から、画面共有、ブレークアウトセッションと呼ばれるグループでの話し合いのやり方まで、ひと通りの操作に、筆者が習熟し学生も習熟できるまで、雑談をしながらコミュニケーションを深めた。おかげで、初回の授業からスムーズに授業を始めることができた。
 Zoomのメリットは、普段、簡単には大学に来てもらえない人でも、都合さえ合えば参加してもらえる点だ。ゼミでは、ICT教育や防災教育で著名な地元の町田市立第五小学校の五十嵐俊子校長を始め、何人ものゲストを招くことができた。五十嵐校長からは、コロナ禍で休校中の現状をリアルに聞けて、学生たちにも有意義な時間になったようだ。

コロナ禍で地元の住民2人が作ったテイクアウトマップ。制作者からもZoomで取材した。コロナ禍で地元の住民2人が作ったテイクアウトマップ。
制作者からもZoomで取材した。

 筆者のゼミは教育政策と現場のつながりを考えるゼミだ。授業のプロジェクトのひとつに、これまでも別の授業で取り組んできた、フリーペーパー「玉川つばめ通信」の増刊号の取材・作成を組み込むことにしていた。しかし、この状況では取材もままならない。そこで、これまでのつながりを生かして、取材対象となる方にもZoomに出演いただいた。話題も、玉川学園版のテイクアウトマップ制作と、今日的だった。

「初めて顔を見ながら話せて良かった」

 ゼミ以外の授業でも、LMS(Learning Management System)であるBlackboard(Bb)で課題を出すという従来型だけでなく、パワーポイントのスライドに音声を入れてYouTubeで配信したり、Googleフォームでミニテストをやったり、学生ポータルサイトUNITAMAのポートフォリオにコメントを書きこんでもらったり、Bbの掲示板に学生のレポートを張り付けて互いに評価しあったり、考えられることはいろいろと試した。
 1冊の本を全員で精読する2年生の「名著購読」の授業では、Bbの掲示板で互いに評価し合う機能は有効だと思った。それでも、やはり顔を見たり声を聴いたりするのがいいと思い始め、途中からこの授業でもZoomを入れることにした。少人数によるZoomでの話し合いは学習効果をさらに高めたと思う。通信環境等の問題があるため、参加しなくても成績評価には影響しないとことわったうえでのことだが、かなりの学生が参加してくれた。
 1年生の授業でもZoomを取り入れた。まだキャンパスにも来ていないのだから、コミュニケーションを増やす機会にした方がいいと考えたからだ。「同じ授業を受けているみんなと、初めて顔を見ながら話せて嬉しかった」など、多くの学生から好評だった。ブレークアウトセッションなら、少人数で気軽に話もできる。ときに初対面の学生同士では会話も弾まないというデメリットもあったが、対面授業でも同様の問題は起きてしまう。

出席確認と課題レポート

 オンラインである以上、Zoomのようにリアルタイムに出席を求めない限り、課題を提出するか、何かを視聴してコメントを残すかしないと、授業に<出席>しているとはいえない。このため、担当科目のうち、複数の教員が担当する一つを除いてコメントを必須とした。受け持つ学生数は約170人。毎回のコメントに応じて、それぞれにコメントを返すというのは、それだけで大仕事だ。もちろん、課題のレポートも半端な数ではないから、パソコンの前に向かう時間が格段に増えた。
 今回の事態では、全国的にも、学生への課題が増え、相当の負担になったようだ。外出自粛と相まって、ストレスのたまった学生も少なくなかっただろう。授業外で勉強しない大学生のことが繰り返しやり玉に挙げられるが、今年度に限ればかなり駆逐されたはずだ。学修時間を調査すれば、きっと跳ね上がるに違いない。
 一方で、オンデマンドだと、授業と授業外の境目もまたあいまいである。中には本来の授業時間にアルバイトに精を出している学生もいた。もっとも、コロナ禍で保証人である親の収入や、自身のアルバイト収入が減った学生は大変だから、あまり責めるわけにもいかない。

閉館が続き、ひっそりとした大学の図書館だが、7月からは学部生向けに郵送による図書の貸し出しが始まった閉館が続き、ひっそりとした大学の図書館だが、
7月からは学部生向けに郵送による図書の貸し出しが始まった

 7月からは、大学の図書館で、学生向けに郵送による図書の貸し出しがようやく始まった。「課題のレポートを作るにも、本が借りられないと調べようがない」という声が上がっていたので、情報をキャッチするやいなや、利用するように奨めた。こういった事態が起きたときの図書館機能は、極めて重要だ。
 いまの学生はふだんから、レポートでネット情報を多用する。コロナ禍でやむを得ない面もあったが、オンラインで調べることには限界があることにも気づいたはずである。そこに気づくようなレポート作成であってほしいと思った。

中西 茂 教授
中西 茂(なかにし しげる)

玉川大学教育学部 教授
研究分野:教育政策、メディア

プロフィール:
1983年、読売新聞社入社。2005年から、解説部次長、編集委員として連載「教育ルネサンス」のデスクを務めた。『異端の系譜 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス』(中央公論新社)を始め、家庭内暴力事件から学力問題まで様々な著作があり、複数の教育雑誌でも連載を執筆中。2019年2月まで中央教育審議会教員養成部会臨時委員。2016年4月から玉川大学教授として着任。現在に至る。

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