学校法人 玉川学園 Puente 2012.06 vol.02


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玉川大学が力を注いでいる研究の一つに植物工場の技術開発がある。植物工場とは温度や湿度、光条件などを制御することで、栽培対象の成長を最適化するものだ。 味や栄養分などの品質をコントロールし、甘みがありビタミン類を多く含んだレタス、あるいはリコピンなどの栄養素を増やしたトマトなどを栽培することができる。昨今は機能的な野菜を生産するだけでなく、食糧問題の改善に寄与するものとしても植物工場への関心は高まっている。しかし、栽培環境を高度に制御するためにコストがかかることから、事業として成功している事例は多くはない。 今回、大学新食堂の建設と併せて、産学連携の一環として、LED(発光ダイオード)を光源とした植物工場の建設が決まった。新食堂に隣接される新植物工場では日夜、野菜を栽培し、それを新食堂や近隣のスーパーに提供する予定。事業パートナーである西松建設株式会社とともに新たな農業ビジネスモデルの構築を目指す。 新植物工場はすでに着工しており、2012年9月に完成する見込み。10月にはリーフレタスを1日に約600株を生産する予定。さらに2年後には設備を増設し、レタス以外の作物も含めて1日に3900株の生産を目指す。最終的な目標は生産性と高品質を両立させた収益性の高い事業モデルを確立すること。新しい農業ビジネスの一つの形として、今後も植物工場からは目が離せない。TNPRODUCE—PLANTFACTORY—2012.9新植物工場次世代農業ビジネスを実現2012年9月に竣工予定の植物工場。大学新食堂「KEYAKI」(左)に隣接する植物工場(右)。安全・安心、しかもおいしくてヘルシーな野菜が新食堂KEYAKIで提供される。写真左:植物工場の内部イメージ。LED光源を用いることにより、消費者ニーズに対応した高付加価値な作物を効率的かつ計画的に生産できる。写真右上:青色LEDで大きく育ったチンゲン菜。写真右下:LED赤色光でリーフレタスを栽培すると、露地栽培に比べて甘みがあり、ビタミン類を多く含むレタスが育つ。9VOL.02


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