玉川学園の教育・研究には、「玉川初」という取り組みがたくさんあります。創立以来85余年、その「玉川初」を大切に継承してきました。

・『児童百科大辞典』
玉川大学出版部の前身である玉川学園出版部は、1932年(昭和7年)日本ではじめての子ども向けの百科辞典『児童百科大辞典』(全30巻)を刊行しました。これは、夢の教育と理想の学園建設のためには体系的な百科辞典が不可欠であると考えた創立者・小原國芳の発案によるものでした。この流れは、戦後の『学習大辞典』(全30巻)、『玉川児童百科大辞典』(全30巻)、『玉川こども百科』(全100巻)、『玉川百科大辞典』(全31巻)、『玉川新百科』(全10巻)、『玉川こども・きょういく百科』(全31巻)などにつながっています。さらには、玉川学園創立90周年記念出版として『玉川百科 こども博物誌』(全12巻)が小原芳明学長監修のもと刊行開始しました。

・黄色いコスモス(イエローガーデン)
世界で初めての黄色い花を咲かせるコスモス。それは、玉川大学農学部の育種学研究室が30年以上の歳月をかけて開発し、1987年(昭和62年)に品種登録された「イエローガーデン」です。今では様々な色のコスモスの花を目にするようになりましたが、イエローガーデンが開発される以前、コスモスの花の色は真紅、ピンク、白などに限られていました。1957年(昭和32年)、育種学研究室の佐俣淑彦教授が紅系のコスモスの中に、突然変異で黄色く発色した株を発見しました。その株をもとに20年以上にわたって交配実験を繰り返し行い、より黄色味を帯びた株の選抜に取り組み、1980年(昭和55年)頃から鮮やかな黄色い花が定着してきたことにより、1987年(昭和62年)に種苗法に基づいて世界初の黄色いコスモス「イエローガーデン」が登録されました。創立者 小原國芳は著書『全人教育論』に真・善・美・聖・健・富の6つの価値を創造することが教育の理想だとし、「この6つの文化価値が、秋の庭前に整然と花咲いとるコスモスCosmosの花のように、調和的に成長してほしいのです」と著しました。今では、コスモスの花は教育の理想として例えられるだけでなく、玉川学園にとって大変身近な花になっています。

・学校劇
創立者・小原國芳は「学校劇」ということばを日本に広めたことでもよく知られています。大正時代、広島高等師範学校付属小学校から成城小学校に移った國芳は、日本初の学校発表会を開き、全国的な注目を集めました。玉川学園の創立を機に演劇教育はさらに盛り上がりを見せ、「玉川学園学校劇集」は全国の小学校・中学校に広がり戦後の演劇教育に大きく貢献しました。この取り組みは玉川教育の発展とともに、演劇教育のトップを走り続け、現在の芸術学部の基礎となっています。