2017年度夏期スクーリングにおける学びや経験

2017.11.01
湯藤 定宗

2017年度の暑い,熱い夏期スクーリングが終わりました。皆さんは,どのような学びや経験をされましたか。特に,初めてスクーリングに参加された方々は,通大生の熱心に学ぶ姿勢に多くの刺激を受けられたことと思います。
さて,夏スクの特徴として学生会が主催する様々な行事があります。学生会の皆さんは,自分自身の学修を進めつつ,通大生のために各行事を企画・実施してくれていました。この場を借りて心から感謝申し上げます。
私は学生担当ということもあり,スクーリングを担当しつつ,可能な限り各行事に参加しました。8月3日早朝のチラシ配布に始まり,同日の全国交流会,8月5日の朝日公哉先生による合唱指導も兼ねた交流会,8月8日のスポーツDay(今回はバスケットボール),8月10日の総会及び地域別交流会,そして夏スクの最大行事である13日の通大祭など,多くの学生と交流することができた夏でした。今年度の通大祭に参加された方々は,例年との違いに気づかれましたでしょうか。例年以上に今年度は「学び」に力点を置いた催しが多く企画されていました。一例を挙げると,通大生OB・OG による教員採用試験対策や特別支援教育,通大生による外国語活動紹介,大学教員によるレポート指導,大学職員による学修支援など,通大生の悩みや学修ニーズに対応した様々なブースが設置されました。各ブースで多くの通大生が真摯に学んでいる姿を見ることができました。
また14日午前中には,自然に親しむ会による映画「挑む~菊池省三・白熱する教室」の上映会が行われ,30名以上の通大生が参加し,上映会後には未来の教育について白熱した議論が交わされました。一人の学生が洞察に富んだ以下のコメントを寄せてくれました。
「この映画を見て,私は様々な感情を持ちました。感嘆,憧れ,嫉妬,期待,希望,悲しみ,感動……しかし,心に残っているのはある種の〈怒り〉です。
(中略)私は,あの子たちが特別に,本質的に『すごい』とは思いません。実は,あれが人間およそ12年目の本来の姿なのではないでしょうか。『すごい』のは菊池先生が,ほとんど誰の手も借りずに,今の日本社会及び学校教育の中にいながら子どもたちのための教育を守り抜いていることだと思います。
あの子たちの存在が我々に突きつけてくるのは,いかに日本の学校が,社会が,大人が,子どもたちの自尊心を踏みにじり,好奇心を奪い,彼らの可能性を小さな箱に押し込んできたかという醜い現実です。本当に,怒りが,悲しみが,湧いてきます。」
上記映画を通して,これまでの日本の学校教育とこれからの学校教育について,様々な思いが参加者たちに想起した時間でした。
本稿締切が8月22日ですので,23日実施予定の丘の終鈴について触れることができませんが,暑い,熱い夏スクを玉川らしく音楽で元気に締めくくり,更なる飛躍を各人が誓うことになると思います。夏スクでの学びが皆さんの夢の実現に結びつくことを願います。

プロフィール

  • 教育学部教育学科 通信教育課程 准教授
  • 広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。教育学修士。
  • 専門は、教育経営学・教育行政学・教育制度学
  • 趣味:野菜づくりと読書、そして我が子たちと遊ぶこと
  • 著書に『なぜからはじめる教育原理』(共著、建帛社、2015年)『新・教育制度論』(共著、ミネルヴァ書房、2014年)、『教職概論』(共著、協同出版、2014年)、『新教職概論(改訂版)』(共著、学文社、2014年)、『教育制度と教育の経営(改訂版)』(共著、あいり出版、2014年)、『学校評価システムの展開に関する実証的研究』(共著、2013年、玉川大学出版部)、主要論文として『米国チャータースクールにおけるスポンサーによる学校評価に関する研究』(単著、日本教育経営学会論文誌(52))などがある。
  • 学会活動:日本教育経営学会(紀要編集委員)、日本教育行政学会、日本教育制度学会、関西教育行政学会、アメリカ教育学会、中国四国教育学会 会員