アクティブ・ラーニングにおける振り返り

2018.06.01
田畑 忍

玉川大学AP フォーラム2017 で発表する機会を与えて頂きました。
フォーラムでは、森山賢一教授が「アクティブ・ラーニングをどのように推進するのか」というテーマで基調講演をされ、独立行政法人教職員支援機構次世代型教育推進センター研修協力員の先生方が、初等・中等教育における「主体的、対話的で深い学び」に関する事例報告をされました。

私は「教員養成課程におけるアクティブ・ラーニングと学修成果の可視化」というテーマで発表しました。
今回のフォーラムでポイントとなったもののひとつに「振り返り」があります。
私の授業では、シンク・ペア・シェア(=1人で考え、ペアで議論し、全体で共有する技法)直後の振り返り、振り返りシートを利用した授業終了前の振り返り、(通学課程では)デジタルポートフォリオを利用した授業後の振り返りなど、さまざまな振り返りを行っています。
これらは、授業中に考えたことや感じたことをその場限りにするのではなく、その後の学びにつなげてほしいと考えているからです。
また、振り返りシートに書かれたものに対して個別にコメントを返したり、全体で共有するために次の授業の導入で紹介したりしています。
より深い学びや積極的な振り返りになればと考えているからです。
次世代型教育推進センターの先生の発表に、「形だけの振り返りから、学んだ手応えの自覚へ」という内容がありました。

子どもたち自身に学んだ手応えを得させるため、「当初の考え」「変わった考え」「考えが変わったきっかけ・理由」などを記述させ、全体で共有するというものです。
また、「振り返りのタイミング」と「熟考できる場づくり」が大切だとの報告があり、その通りだと思いました。
学習者の自主的な振り返りを促すためには様々な工夫が必要です。
アクティブ・ラーニングでは特に、振り返りは学習内容の理解を促し、深めるきっかけとなります。
今の自分自身の学びのためにも、将来指導する立場となった時のためにも、振り返りを大切にした学修を意識し、実行してみてください。

プロフィール

  • 教育学部教育学科 通信教育課程 准教授
  • 三重大学大学院 教育学研究科学校教育専攻 修士課程修了。教育学修士。
  • 三重大学大学院 工学研究科システム工学専攻 博士後期課程修了。工学博士。
  • 専門は、教育工学、教育方法学。
  • 皇學館大学・名古屋女子大学非常勤講師などを経て現職。
  • 論文に『ステップごとの解説の作成と相互評価をとり入れた問題づくり授業』『ワークブックを用いた演習を支援するシステム-教師による直接指導と同等の支援を目的とした演習支援システム-』などがある。
  • 学会活動:日本教育工学会、コンピュータ利用教育学会 会員