お土産の買い方

2018.07.30
守屋 誠司

夏休みに旅行へ行く人は多いでしょう。旅行の記念に何を買ったら良いかに迷いますね。そういう人のために,授業でも使えるお土産を紹介しましょう。

写真1 四国各地のお土産

写真1は,四国で購入した人形です。大きい順に一つずつこれらの人形を見せると,子供達から歓声があがります。他にも大・中・小の人形を見せます。これらの人形のどういうところが面白いかを問うと,「形は同じだけど,大きさが違います」という発言を得られます。拡大図と縮図(中学校では相似図形)の導入場面です。お土産は,大きさが違う物を3つ買うのが鉄則です。
写真2は,相似図形ですが,入れ子式になっています。自分自身が自分自身の縮小図形でできている図形をフラクタル図形と言います。相似図形の発展した図形です。代表的な図形はシェルピンスキーガスケットと言われる図1です。フラクタル図形もお土産屋さんで見つけることができます。

写真2 入れ子式折り紙細工とマトリューシュカ
図1
写真3 三河名物の大アサリ
写真4 焼酎グラス

写真3は,三河湾で有名な大アサリ(正確にはウチムラサキと言って,アサリとは別の貝)です。普通のアサリの何倍あるかを調べてみると面白いでしょう。どうやって体積を量るか工夫させながら体積比を調べても良いでしょう。数学でやったように,体積比は相似比の3乗になっているでしょうか。
別の単元の例を紹介します。写真4のグラスには目盛りがついています。鹿児島で手に入れました。何に使うグラスだと思いますか。
目盛りの5:5は,ここまでの容積がコップ全体の容積の5割であることを示しています。目盛り5:5まで焼酎を入れて,残りにお湯を入れることで,簡単に1:1の焼酎のお湯割を作れるコップです。鹿児島は焼酎が美味しいところです。さすが焼酎を呑むための特別便利なコップがあるわけです。このコップでお酒を飲んでいる親を見ている子供達は,習熟困難といわれる「割合」に対して抵抗が少ないかも知れませんね。地元だけで受ける,教科書へは絶対に載せられないネタでしょう。
このように,国内外を旅行したら,授業に使えそうな物を買ったり,写真を撮ったりしておいて,授業の素材を豊富にしておくことも,教師として大切な心構えです。

プロフィール

  • 教育学部教育学科 通信教育課程 教授
  • 東北大学博士課程情報科学研究科修了。博士(情報科学)。
  • 山梨県の公立小・中学校の教諭を勤めた後に、兵庫女子大学専任講師、山形大学助教授、京都教育大学教授を歴任。この間に山形県立保健医療大学、福島大学、大阪教育大学等の非常勤講師を務めた。京都教育大学名誉教授。山梨大学・東京福祉大学非常勤講師。
  • 専門は数学教育学で、教材開発や教育方法、数学的認知、比較数学教育、数学の文化史を研究する。
  • 数学教育学会理事。
  • 著書:『小学校指導法 算数』(玉川大学)編著・他多数。